2010 Fiscal Year Annual Research Report
大学院教育を地域貢献に活かす保健師等のコンピテンシー開発
Project/Area Number |
20390572
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 玲子 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (60269850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷垣 靜子 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (80263143)
小出 恵子 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (40550215)
鳩野 洋子 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20260268)
岩本 里織 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (20321276)
草野 恵美子 千里金蘭大学, 看護学部, 准教授 (70346419)
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Keywords | 保健師 / 大学院教育 / 公衆衛生看護 / 地域貢献 / コンピテンシー開発 / 教育プログラム |
Research Abstract |
<研究実績全体について> 本研究は、平成16~19年度基盤研究(B)の成果を土台にして、新たに教育プログラムと評価指標を開発し、大学院教育と現場で実践する保健師等に用いて、学習者の専門能力向上と地域貢献への効果を実証し、その方法を広く普及することを目的としている。 平成20年度前期に大学院前期課程用に開発した教育プログラムを試行し、その後期から平成21・22年度の前期・後期と実施し効果を検証した。また保健所・保健センター出前用の教育プログラムを並行して開発し、期間中3フィールドで実施・評価した。 教育プログラムは、学外研究者にクリティークを受け随時修正を加えた。平成21年度にはロンドンシティ大学からは研究者1名を招聘し、教育プログラムの参加観察を実施してもらうとともに、研究プロセスと評価方法についてもクリティークを受け、最終の22年度は、その結果に基づきプログラムの内容を検討し報告書を作成した。 <主要研究論文について(査読2回を経て現在若干の修正中)> 近年、健康課題の多様化・深刻化に伴い、保健師に求められる役割が拡大・高度化している。本研究の目的は、大学院博士前期課程の科目で実施する、保健師等のコンピテンシーを高めるための学習成果創出型プログラムを開発し効果を検証することである。 プログラムは、2回の試行と修正を経て開発された。プログラムのコンセプトは「私の学び、明日への貢献」であり、4か月間にグループ・セッションが5回、その間の個別面接4回で構成されている。期間中参加者は、現場の課題と、それを解決する自分の学習課題を明確にして、自分で決定した到達目標の達成に向けて取り組む。研究者は学習支援者として、参加者の学習成果が最大になるように支援する。対象は、2008年10月から2010年3月までの3期にプログラムを受講した保健師8名であり、うち4名が大学院生、4名が科目履修生であった。プログラムのアウトカムは、プログラム実施前後のコンピテンシーの測定により評価し、プロセス評価は、参加者に1)現状と課題への気づき、2)改善計画の実行、3)改善した成果の確認という3つの必須通過点があったかどうかによって評価した。 プログラムを実施した結果、以下の結果に示す一定の効果が検証された。前後のアウトカム評価では、参加者の専門性発展力や公衆衛生の基本活動遂行能力、事業・社会資源の創出コンピテンシー、住民の力量を高める能力、活動の必要性と成果を見せる能力など多様な能力が有意に高まっていた。さらに、プログラム実施後の参加者の満足度と、費用に見合う効果を得られたと思う程度は高かった。また、参加者の学習プロセスにおいては、方法に示した必須通過点が確認された。 また、教育プログラムと教材、教育体制モデルの活用可能性について、自治体の現任教育担当者を対象に調査を行ったところ(n=384)、活用可能性ありとの回答は、都道府県56.5%、政令指定都市等48.5%、市町村40.9%と都道府県で高かった。 本プログラムは今後、大学院教育や大学と連携した自治体や企業、看護協会保健師職能による現任教育への適用可能性がある。今後のプログラム充実に向けては、多様な状況に応じた学習支援方法の確立、教材の開発、質的評価指標の開発、学習支援者育成方法・体制の確立といった課題がある。
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Research Products
(11 results)