2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国・ASEAN地域協力構想におけるベトナムの定位に関する研究
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20401006
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
栗原 浩英 Tokyo University of Foreign Studies, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30195557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 名誉教授 (10012460)
白石 昌也 早稲田大学, 大学院・アジア太平洋研究科, 教授 (70127330)
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Keywords | ベトナム / 中国 / ASEAN / 地域協力 / 経済回廊 |
Research Abstract |
本年度は8月にハノイ=南寧回廊通過地域,具体的にはハノイ,ランソン,南寧において調査研究を行った。12月には計画を前倒しして,環トンキン湾経済回廊地域の一部分,ハイフォン,ハロン,モンカイ,防城港市において調査を行った。その結果,次のような問題点が明らかになった。(1) ベトナムと中国で経済回廊に関する概念が共有されていない。中国側はベトナムをASEAN諸国への入口・通過地点と位置づける傾向が強いのに対し,ベトナム側は二回廊通過地域の経済発展を重視している。(2) 両国間には国境地帯に限定された開発計画から広域的な開発計画に至るまで次元の異なる計画が重層的に存在している。ベトナム側が国境経済区など地域的に限定された計画を重視するのに対し,中国側は「一軸二翼」のような広域的な開発戦略に関心をもっている。(3) 両国間で協調しながら「二回廊一経済圏」を建設する機構が存在していない。中国側で単独に「広西北部湾経済区計画」が進んでいることはその例証である。(4) 中国側でASEANへの入口としての地位を確保したい広西自治区政府と,特別扱いしたくない中央政府との間で確執が存在すること。以上のようないくつかの問題が存在する一方で,2008年12月には陸上国境の境界碑設置が終了したり,2009年1月からは南寧・ハノイ間直通列車(標準軌)の運行が開始されたりするなど,国境地帯の安定と交通往来は着実に前進している。なお,10月31日には,アジア経済研究所のGMS研究班と合同で「メコン地域開発研究:経済回廊の新展開」をテーマに研究会(東京・ジェトロ会館)を組織し,中越国境地帯,中国・ラオス国境地帯,中国・ミャンマー国境地帯との比較研究を行い,ベトナムがラオスやミャンマーに比べて,中国に慎重に対応していることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)