2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ・マー系社会の地域セーフティ・ネットに基づく在来型難民支援モデルの構築
Project/Area Number |
20401010
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (30275101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一頼 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00405143)
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Keywords | 難民 / 東アフリカ / ケニア / 文化人類学 / 国際法学 / 国内避難民 / 紛争 / セーフティ・ネット |
Research Abstract |
平成22年度は、平成21年度の海外臨地調査成果を、日本アフリカ学会、平成22年度第2回アフリカ・モラル・エコノミー研究会、第6回アフリカ教育研究フォーラム特別講演、アフリカ大阪大学グローバルコラボレーションセンター・ワークショップ「フードセキュリティと紛争」等の機会に口頭発表し、参加者と討議を行うことができた。また、ケニア大統領選挙後のリフトヴァレー州国内避難民についての民族誌的報告を、大阪大学グローバルコラボレーションセンターのブックレット所収の論文として刊行した。また、一般社会に対する研究成果公開としては、放送大学「グローバリゼーションの人類学」において本研究の成果を含む放送教材3点を作成し、印刷教材3章を執筆した。 平成22年度の臨地調査においては、紛争の終結にともない、ようやく、研究代表者が「サンブルランド西端紛争」と呼ぶ紛争の概要をほぼ明らかにすることができた。(1)研究代表者の調査累計によると、2004年以降の個別紛争例は82件にのぼり、死者の総数は562人を数える。(2)この紛争の要因は政治的であり、ある政治家が、パトロン・クライアント・ネットワークを形成して、アイデンティティ・ポリティックスを行ったことにある。(3)紛争地は、劣悪な国家ガヴァナンス状況下にあり、腐敗した警察官が略奪者に協力したり、武器を売却したり、武装解除に際し人権侵害を行うなどの行為がみられる。2011年3月に、ナイロビの国連難民高等弁務官事務所の職員に本研究の成果概要を報告する機会があったが、同職員はこの紛争と国内避難民の現状についてほとんど知見がなく、研究成果の公開に期待が寄せられた。
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