2008 Fiscal Year Annual Research Report
レンブラントおよびレンブラント派における和紙による版画素描作品の研究
Project/Area Number |
20401015
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Research Institution | The National Museum of Western Art, Tokyo |
Principal Investigator |
幸福 輝 The National Museum of Western Art, Tokyo, 学芸課, 上席主任研究員 (00150045)
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Keywords | レンブラント / 和紙 / オリエント |
Research Abstract |
平成20年度は、2度にわたり、主要なヨーロッパの版画コレクションにおいて、レンブラントの版画を中心にして調査をおこなった。最初は、ロンドンの大英博物館およびアムステルダム国立美術館を中心に、二度目は、ウィーンのフルベルティーナとベルリン国立版画館を中心に調査をした。ともに世界で最もレンブラントの豊かなコレクションを誇る美術館であり、そのレンブラント・コレクションを実際に調査できたことはきわめて貴重な体験であった。レンブラントが和紙を使ったのが決して偶然ではなく、きわめて明確な意思に基づいていることを確信した。また、レンブラントの版画に複数(3から4種類)の和紙が使用されていることが明らかとなったが、その一部は歿後の刷りである可能性も捨てきれず、現時点では、それ以上の事実を明らかにすることはできない。けれども、この分野に関する唯一の先行研究であるホワイトとボーンの調査には多くの誤りがあり、その一部であっても自分の目で修正できたことは大きな成果であった。また、レンブラント周辺の画家の手になる、少なからぬ数の和紙を使った素描作品を発見することができたのも大きな収穫であった。レンブラントを別にすれば、ヨーロッパの重要な研究機関においても、和紙を使った版画素描作品の研究はまだほとんど手がつけられておらず、残念ながら、和紙作品の調査は今後とも手探り状態のまま続けていかざるをえないとの認識をもった。しかし、たとえ偶発的にではあっても、今後とも未知の和紙作品を探す作業は続けていきたいと思う。レンブラント以外では、ヤン・リーフェンス、フリップス・コーニンク、ウィレム・ファン・デ・フェルデらに和紙を使った素描があり、フェルディナント・ボル、シモン・デ・フリーヘルらに和紙を使った版画が見つかったことを報告しておきたい。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
幸福輝, 共著
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Journal Title
ルーヴル美術館展:17世紀ヨーロッパ絵画(論文:江戸のゼウクシス)(日本テレビ放送網)
Pages: 53-63