2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20401045
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 正和 Kyushu University, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (60281549)
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Keywords | 砒素汚染 / 健康被害 / 中国 / バングラデシュ / ネパール / 政治生態学 / 文化人類学 / 国際協力 |
Research Abstract |
本研究では21年度中3回の現地調査を行い、地下水砒素汚染と現地における貧困との関係の研究を進めた。当該年度に調査を行った砒素汚染地は、7月中国山西省、9月バングラデシュ・ジョソール県、12月ネパール・ナワルパラシ郡である。 中国山西省調査ではこれまで継続的に調査を行っている山西省大栄村で追加調査を行うとともに砒素汚染のない近隣の陳庄村において調査を行い、砒素汚染の影響を評価するための比較データを得た。バングラデシュ調査でも昨年に引き続きベルゴビンドプール村で調査を行い、砒素被害からの回避行動を理解するため、砒素対策のために設置された代替水源の周辺世帯を対象にソーシャルキャピタルに関する聞き取りを行った。砒素汚染の度合いが低い隣接するシャハザッドプール村で比較対象データのための調査を行った。その結果、砒素汚染のないあるいは低い村では、砒素中毒の発症も低いことは容易に予想できるが、それに加えて一般的な疾病の発症も低い傾向にあることが分かった。このため、疾病に伴う医療費が砒素汚染の影響により増大し、住民の貧困化の一因となることが想定できた。ネパールではこれまでの調査と同一地域にあるポタニ村で調査を行った。この村ではほかの村では砒素中毒患者が多く発生する程度に砒素濃度の高い井戸が存在するものの、砒素中毒患者は確認できなかった。この村は先住民であるタルー族の住民が80%以上を占め、他のインド系、チベット系のネパール人とは違う食習慣があり、砒素中毒発症の違いは栄養摂取も一つの要因であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)