2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国における象徴資本としての宗教実践に関する調査研究
Project/Area Number |
20401051
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐々木 伸一 Kyoto University of Foreign Studies, 外国語学部, 教授 (30175377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 欣雄 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90103209)
池上 良正 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (60122925)
黄 強 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90329673)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 文化人類学 / 宗教実践 / 象徴資本 / 状況構築 |
Research Abstract |
本年度は宗教実践などの象徴資本に関する状況的構築の諸相についての調査を、中国各地でそれぞれが実施し、〓州で共同調査と資料検討会を行った。渡邊は、「客家系」の象徴資本とされてきた宗教活動が、福建省厦門地区や広東省汕頭・潮州などに住む〓南人(福姥人)においても同様かの調査を行い、これまで広く「客家文化」とされてきた「三山国王」という神および神観念と行事、さらに「義塚」と称する無縁仏の信仰および行事が客家地区を越え、むしろ汕頭、潮州地区でより盛んに実践されていることを明らかにした。池上は北京市・天津市・江西省〓州市などで調査を行い、政治都市である北京の観光寺院などは例外として、現代中国の経済先進地域の仏教寺院では「死者供養」に関わる儀礼や実践が重要な経済基盤となっており、急速な寺院復興の要因でもあることを確認した。こうした傾向は〓州市のような地方都市にも当てはまり、経済先進地域をモデルにした「死者供養」の整備が、現在進行形で進められている状況を明らかにした。黄は江南水郷地区における仏教寺院、道教施設の宗教市場経済化の実態を把握し、観光の名勝地(普陀山や蘇州、無錫など)における仏教寺院で実践されている様々な供養儀礼をもととした経済実況の実態を明らかにすることができた。佐々木は、湖北・江西省で民間の宗教的職能者の実態把握に努め、その一般的実践形態ならびに「過陰」という儀礼の地域的分布を明らかにすることができた。また、江西九江市では、村の小さな道観の幾つかでは道士が民間の職能者が行ってきたような治療儀礼や過陰儀礼にも携わっており、職能の重複的実践という宗教の相対的な現代の状況構築についての事例を蒐集することができた。 これまでの研究成果についての報告会を、中部大学で一般に公開する形式で、12月5日(名古屋鶴舞校舎、中部大学国際関係学部主催)と、3月2日(本校、本グループ主催)に実施した。それぞれ65名、30名ほどの参加者があった。
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Research Products
(4 results)