2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国における象徴資本としての宗教実践に関する調査研究
Project/Area Number |
20401051
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐々木 伸一 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30175377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 欣雄 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90103209)
池上 良正 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (60122925)
黄 強 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90329673)
志賀 市子 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (20295629)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 文化人類学 / 宗教実践 / 象徴資本 / 状況構築 / 近代化 |
Research Abstract |
本年度は宗教実践などの象徴資本に関する状況的構築の諸相についての調査を、中国各地でそれぞれが実施し、調査後、3月に中部大学で調査資料に関する研究会を行った。 渡邊は雲南省蒙自市を主に、周辺の漢族村数カ所とハニ族村一カ所で、民族識別工作前後の民族の宗教的特徴についての調査を実施した。識別工作そのものが非常に恣意的で、漢族と少数民族の差異は、実際にはその後数十年を経て徐々に形成されたことが判明した。池上と黄は「死者供養」の形成と展開について、歴史研究では盂蘭盆会、施餓鬼、追善斎の先学の研究を基盤として体系的な理解を進め、現状に関しては、四川省成都市および重慶市で、また黄単独では青島市と上海市で、仏教寺院や道教廟で営まれる死者供養の儀礼や諸実践を調査した。結果、現在の死者供養が形成されたプロセス並びにその論理について、おおよその理解をえることができた。志賀は、台湾高雄県で、客家が多く居住する美濃地区の善堂と、善堂の管理する義塚の、花蓮市では、仏教系慈善団体「慈済功徳会」と有力扶鸞教派の一つ「慈恵堂」を調査した。香港では清代潮州地域の地方文献を中心に、資料蒐集を行った。福建省と広東省では、沿海地区での媽祖廟や保生大帝などの廟や善堂に祀られる神々、漁民や水上居民の信仰・民俗に関する聞き取りを行い、いわゆる「流れ仏」の信仰に関する新たな知見をえることができた。佐々木は、長江流域以北であるにもかかわらず「過陰」儀礼について聞かれる山西省を主としながら、民間職能者の宗教実践の現状に関する調査を行い、これにより中国のシャーマン的職能者のおおよその在り方についての見取り図をほぼ同定するに至った。
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Research Products
(11 results)