2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国の地方政府における環境法政策の執行と環境ガバナンスの向上に関する研究
Project/Area Number |
20402002
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
北川 秀樹 龍谷大学, 法学部, 教授 (60360252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 晶寿 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30293814)
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (30188750)
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Keywords | 環境法政策 / 中国地方政府 / 法執行 / 環境ガバナンス |
Research Abstract |
過去2年の調査研究で得た知見を整理するとともに、これまであまり進んでいなかった環境財政および自然・生態環境保護政策について調査した。このうち、環境財政については、森林政策に関する地方環境財政の調査から、政策は国が策定し、執行は地方に委ねるため中央財政からの移転がなければ執行が円滑にいかない現状を把握した。また、自然・生態環境保護政策については、中国での気温上昇の実態を気象データをもとに整理し対策の必要性を示唆したほか、研究分担者・小長谷有紀を中心に生態移民政策の過去の研究成果を網羅的に整理し、その課題を抽出した。また、陝西省南部山地の自然保護区を調査し、生物多様性の観点から考察した。2010年9月、研究の総括として、中国から北京大学法学院・江勁教授、湖北経済学院・呂忠梅院長兼教授を招聘して、「中国の環境法政策とガバナンスに関する日中国際シンポジウム」を開催した。このシンポジウムにおいては、法政策を中心としながらも、自然科学、人文科学分野の日本側研究者も参加し、意見交換した。特に、中国の環境ガバナンス改善の課題として、環境法体系は整いつつあるものの未だ不十分であること、経済発展志向、政権党一党指導の人事制度、地方に「政策は与えるがお金は与えない」財政制度(地方の財源不足)、環境保護部門の権限不足と他部門との連携不足、情報公開と公衆参加の遅れ、裁判に対する干渉、裁判官の専門的知識の不足などを確認した。これらについての改善の模索、とりわけ人事、財政面での制度改革が、中国の環境ガバナンス改善の鍵を握ることを認識できたことは大きな意義があった。研究成果の集大成として、研究代表者・分担者、連携研究者の執筆による『中国の環境法政策の執行と環境ガバナンス』(晃洋書房)を本年に刊行することとしている。
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Research Products
(5 results)