2010 Fiscal Year Annual Research Report
国家社会主義からの離脱・進化の多様性:市場経済化の国家戦略・制御能力の比較研究
Project/Area Number |
20402024
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀林 巧 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (70143873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
ヤルナゾフ ディミター 京都大学, 経済学研究科, 講師 (80311661)
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (20325559)
林 裕明 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (30336903)
金岡 克文 金沢大学, 人間社会環境研究科, 客員研究員 (90422659)
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Keywords | 国家社会主義 / 市場経済化 / 旧ソ連・東欧 / 中国 / 国家の市場化戦略 / 国家の制御能力 / 進化 / 多様性 |
Research Abstract |
国家社会主義からの離脱・進化の多様性を中国、ロシア、中東欧諸国の国家戦略・制御能力の観点から比較研究するという目的に即し、2010年度にはバーミンガム大学ロシア東欧研究センターと合同ワークショップを持ち、また、ハンガリーから研究者を招き京都大学でワークショップを開催した。研究代表者のほか、研究分担者の多くがいずれかのワークショップにおいてが報告を行った。中国に関し、研究分担者の中屋は鉄鋼業を中心に基幹産業を分析し、政府出資支配の株式会社に中核企業が集約される傾向を見出し、研究分担者の金岡は中国株式市場の非流通株改革を分析し国有株からなる大口の非流通株は国有株のままであり金融市場で国家が優位であるとみている。国家の経済支配を維持しつつ市場化を進めているのが中国の国家戦略である。ロシアではエリツィン時代に急速に市場経済化が進行、2000年代以後国家規制が強まっている。研究分担者の溝端と林によれば「国家社会主義」の遺産に規定され現在のロシア経済社会は、市場経済、強い国家・ビジネス関係、伝統経済社会の混合物である。2008年以後の世界経済危機に際して解雇抑制策がとられたが、それは政府が企業に地域の安定化を促したことに起因している。同国のインフォーマル経済も市場経済化のコストを和らげている。ヴィッシェグラード諸国とバルト3国は、1990年代後半から外資導入を促進し成長を遂げたものの、外資系銀行の家計への過剰融資(特にバルト諸国)、外資系企業の輸出主導の成長パターンが2008年秋以後の同諸国の経済危機要因となった。研究代表者の堀林は、1990年代後半以後の国家戦略からうまれた上記中東欧諸国の資本主義を「従属資本主義」と特徴付けている。研究分担者のヤルナゾフはブルガリア、ルーマニアも外資依存型資本主義に近づいていることを明らかにしている。
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Research Products
(24 results)