2011 Fiscal Year Annual Research Report
国家社会主義からの離脱・進化の多様性:市場経済化の国家戦略・制御能力の比較研究
Project/Area Number |
20402024
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀林 巧 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (70143873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
ヤルナゾフ ディミター 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (80311661)
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (20325559)
林 裕明 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (30336903)
野村 真理 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20164741)
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Keywords | 国家社会主義 / 市場経済化 / 旧ソ連 / 中国 / 国家の市場化戦略 / 国家の制御能力 / 進化 / 多様性 |
Research Abstract |
国家社会主義からの離脱・進化の多様性を中国、ロシア、中東欧諸国の国家戦略・制御能力の観点から比較研究するという目的に即し、2011年(本研究課題最終年度)にはいくつかの海外調査を実施するとともに代表者と分担者が参加・討論する研究会を開催した。本研究課題において中国の政治経済をどう特徴づけるか大きな論点であるが、中屋は党国家資本主義との規定がふさわしいとの暫定的結論を引き出している。市場経済の広がりと資本主義的労使関係の存在から資本主義と規定できるが、経済の主要部分の所有と経営に対する党=国家の影響力は強力であるからである。中屋によれば、党国家主導経済が存続できるかどうかは、共産党=国家が輸出志向から内需志向経済への転換、経済格差縮小などの課題解決能力にかかっている。本研究課題参加者も概ね中屋の見解に同意している。溝端と林の研究によれば、2000年代のプーチン時代に国家の資源産業統制が強まりロシアは「国家資本主義」の性格を強めた。国家資本主義の下でロシアにも新しい中間層が生まれつつある。他方で国家とビジネス界の人的ネットワーク、インフォーマル経済など国家社会主義の遺産はまだ残存している。ロシアにおける「国家資本主義」の存続は国家が産業構造近代化に成功するかどうかに依存するというのが本研究課題参加者の共通見解である。堀林とヤルナゾフは中東欧経済(旧東欧)は外資依存の資本主義に進化してきたが、産業・輸出構造の近代化の度合いから中欧諸国は「半周辺資本主義」、南東欧諸国は「周辺資本主義」と特徴づけられるとの結論に至った。以上のように本研究課題遂行により国家社会主義から進化した資本主義は多様であることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)