2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域精神保健におけるピア・サポート活動推進を目的とした日伊比較研究
Project/Area Number |
20402048
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤井 達也 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (80248905)
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Keywords | 地域精神保健 / 精神障害者 / ピア・サポート / 日伊比較 / 社会的協同組合 / 共生・自律支援 |
Research Abstract |
本研究は、ヴェローナ大学のブルチ教授と対話を積み重ねて実施する、地域精神保健におけるピア・サポート活動推進を目的とした日伊比較調査研究である。第3年目の昨年は、5月下旬-6月上旬のヴェローナ調査において、ブルチ教授との集中した対話により、調査の残された課題とまとめの方向性を確認し、Self Help San Giacomoの活動のフィールドワークを実施した。住居におけるピア・サポートについては、トレントで開催された連帯住居活動についてのワークショップに、Self Help San Giacomoのスタッフ・メンバーと一緒に参加し、イタリア国内での住居における支え合いの支援の取り組みの広がりを調査した。また、就労支援のプロジェクトの会議にも参加し、Self Help San Giacomoが地域ネットワークの中で、就労支援活動を展開していることを調査した。そして、Self Help San Giacomoの主要スタッフ3名にインタビュー調査も実施し、組織運営と支援方法について、より深く知ることができた。さらに、8月上旬-中旬のヴェローナ再調査により、ブルチ教授と最終報告書作成の章立て構成とその内容についての合意ができた。Self Help San Giacomoの活動のフィールドワークでは、各活動の最終確認をした。特に、Self Help San Giacomoが昨年開始した社会的協同組合B型の活動を調査した。また、ヴェローナで活動展開している社会的協同組合B型ガリレオを見学し、スタッフと当事者の話を聞くこともできた。ガリレオのスタッフのランテリさんは、社会イノベーションに取り組んでいると、社会的協同組合の可能性について示唆を受けた。9月には、日本の1ヶ所の事例調査を行い、ピア・サポート推進の再検討を行った。そして、9月末-10月初旬の北海道調査により、ピア・サポート推進の内容は、セルフヘルプグループの機能を活用する共生・自律支援ではないかと考える示唆を得た。11月に日本のもう1ヶ所の事例調査を行い、スタッフの一方的支援ではなく、セルフヘルプグループの機能を活用する共生・自律支援の重要性を再確認した。地域精神保健におけるピア・サポート活動推進は、セルフヘルプグループの機能を活用する共生・自律支援によって、狭義のピア・サポート活動に限定せずに、多様に推進可能であること、そのためにはイタリアの社会的協同組合A型やB型、アソシエーションという組織形態の浩用とネットワーク活動の重要性を解明できた。
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Research Products
(1 results)