2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン断層帯の大地震発生パターンの地形学的・地震学的研究
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20403001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 浩之 Kyoto University, 理学研究科, 准教授 (60284428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平原 和郎 京都大学, 理学研究科, 教授 (40165197)
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Keywords | フィリピン / フィリピン断層帯 / 歴史地震 / トレンチ掘削調査 / 数値シミュレーション / マニラ海溝 / フィリピン海溝 / 海溝型巨大地震 |
Research Abstract |
本研究は,世界最大級の横ずれ断層であるフィリピン断層帯を研究対象として,過去数千年間の大地震発生履歴を地形調査やトレンチ掘削調査によって明らかにし,その後その大地震発生サイクルを数値シミュレーションによって再現することを試みる.本年度は,まず最初に,平成20年度末にミンダナオ島北部で行ったトレンチ掘削調査の結果の解析と年代測定を進めた.その結果,過去約2000年間に2~3回の断層活動があったこと,また最新活動は1879年の歴史地震に対比されることが明らかとなった.11Aにはミンダナオ島南部でトレンチ掘削調査を行い,複数回の断層活動の地質学的証拠を得た.断層活動の数値シミュレーションについては,平原と京都大学研究生のLaarni Dela Cruzが計算コードの開発を進め,歴史地震・古地震データが豊富なルソン島のフィリピン断層帯の地震サイクルをほぼ再現することに成功した.この成果は,Dela Cruzの博士論文として,平成21年にフィリピン大学数学科に提出された.またマニラ海溝・フィリピン海溝の海溝型巨大地震の発生ポテンシャルを評価するために,ルソン島北西部とミンダナオ島東部の海成段丘調査を継続した.両地域には,3~4段の完新世隆起サンゴ礁段丘が分布しており,海岸地域を数m隆起させるような巨大地震が過去に繰り返し発生してきたことが明らかとなった.海岸の隆起パターンをもとに,震源断層の位置や変位量を計算すると,海岸地域の隆起に寄与したのはプレート境界断層ではなく,その上盤側に位置する海底活断層である可能性が高いことが明らかとなった.これらの成果は,現在国際誌に投稿中である.
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Research Products
(1 results)