2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン断層帯の大地震発生パターンの地形学的・地震学的研究
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20403001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 浩之 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60284428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平原 和朗 京都大学, 理学研究科, 教授 (40165197)
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Keywords | フィリピン断層帯 / 歴史地震 / トレンチ掘削調査 / クリープ変位 / 数値シミュレーション / マニラ海溝 / フィリピン海溝 / 海溝型巨大地震 |
Research Abstract |
本研究は,世界最大級の横ずれ断層であるフィリピン断層帯を研究対象として,過去数千年間の大地震発生履歴を地形調査やトレンチ掘削調査によって明らかにし,その後その大地震発生サイクルを数値シミュレーションによって再現することを試みる.平成22年度および研究費を繰り越した平成23年度は,ルソン島南部の1973年地震の地震断層調査とトレンチ掘削調査,レイテ島の活断層の地形調査,およびルソン島西岸の津波堆積物調査を行った.1973年地震断層のトレンチ掘削調査では,過去約1000年間に,3回の断層活動があったことが明らかとなった.レイテ島の北部では,活断層の地表クリープの確実な証拠を得ることができ,人工構造物の築造年代と変位量から,12~22mm/yrのクリープ変位速度(左横ずれ)を算出した.レイテ島では,過去400年間にフィリピン断層上で大地震が発生しておらず,断層変位の大部分が定常的なクリープ変位で解消されている可能性がある.隆起サンゴ礁段丘の調査から,マニラ海溝でM8クラスの巨大地震が繰り返し発生してきたことが明らかとなった(Ramos and Tsutsumi,2010,Tectonophysics)ことを受けて,マニラ海溝に面するルソン島西部の2地域で,ハンディジオスライサーを用いた津波堆積物調査を行った.亜熱帯性の気候のため,浜堤間の低地でも腐植質な堆積物が分布せず,明瞭な津波堆積物を確認することはできなかったが,今後の調査方法を検討する上で貴重なデータが得られた.
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Research Products
(4 results)