2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20403005
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
湯田 利典 Kanagawa University, 工学部, 教授 (60092368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立山 暢人 神奈川大学, 工学部, 教授 (30102239)
日比野 欣也 神奈川大学, 工学部, 教授 (80260991)
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Keywords | ヤンパーチン / 空気シャワー観測装置 / 一次宇宙線 / 宇宙ガンマ線 / keeエネルギー領域 / 水チェレンコフ検出器 / バースト検出器 / 空気シャワー |
Research Abstract |
2003年の秋、チベットのヤンパーチン高原(標高4300m)に日中共同で完成した空気シャワー観測装置は今日まで順調に稼働している。装置は789台のシンチレーション検出器を7.5m間隔の碁盤目状に配置したもので、総面積は37000平方メートルである。本装置で得られたデータを解析し、10^-10^17evの3桁に亘る広いエネルギー領域での一次宇宙線の全粒子スペクトルを求め、雑誌ApJに投稿し掲載された。このような広範囲のエネルギースペクトルが同一観測装置で測定されたのは世界で初めてである。この観測により、一次宇宙線スペクトルのkneeの位置が約4x10^15eVであることが実験的に確定された。これは宇宙線の加速モデルの構築に強い制限を与えることになる。 この装置の宇宙到来方向の決定精度は1度以下であるため、銀河宇宙線がつくる月の影を精密に観側することができる。一次宇宙線は正電荷をもっているため、地磁気により月の影は西側にずれて観側される。このずれの大きさのエネルギー依存性から、シャワーをつくる親粒子のエネルギーの絶対誤差の評価を世界で初めて行い、これを基礎にカニ星雲からのガンマ線のエネルギースペクトルを求めた。これは将来の100TeV領域ガンマ線点源観側の基礎データとなる。 今年3月に16台の小規模バースト検出器アレを設置し、空気シャワー装置と連動している順調に取得されている。将来は4000平方メートルの面積(400台のバースト検出器を設置予定)に拡張する計画である。まだ、地下2.5mに設置予定の面積約800平方メートルの水チェレンコフ・ミューオン検出器については、シミュレーションによる装置の最適化と設計および建設の準備を行なつた。本装置の具体的な建設はチベットの情勢変化を考慮しながら夏頃に行なう予定である。
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