2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンから産出する化学合成化石群集の成立条件の解明
Project/Area Number |
20403015
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
間嶋 隆一 Yokohama National University, 教育人間科学部, 教授 (30202310)
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Keywords | 化学合成化石群集 / フィリピン / レイテ島 / メタン湧水 / 鮮新世 / Burabud凝灰岩層 / 地すべり堆積物 / 自生炭酸塩 |
Research Abstract |
本年度の主要な成果は以下である. 1.Leyte島北西部の海岸沿いの地質柱状図を作成し,多数の層準から古地磁気測定試料を得た.今回の調査では,チャネル充填堆積物とスランプスカー堆積物を確認し,この地域の堆積環境が極めて不安定な状態であったことが確認できた.スランプ形成にメタン湧水が一定の影響を与えていたことは間違いないと判断される.Cambantug岬北方の地層から第四紀の有孔虫化石を得た.この有孔虫を含む砂質堆積物は,化学合成化石を含む一連の地層と不整合関係で重なることが確認された. 2.Liog Liog半島北岸ルートで,50層準以上から有孔虫サンプルを採取し,古水深と酸素安定同位体比測定による年代モデルを作成する試料を得た.各試料には極めて多量の有孔虫化石が含まれており,この地域の地層の大きな特徴となっている. 3.Antipolo岬周辺から大型ツキガイ類の極めて保存の良い試料を多量に得た.これらの化石は,分類学的に,また古環境復元に極めて有効な試料となることが期待される.また,Buhocの巨大な転石から,これまで未知のツキガイ類化石を採取した.この標本は冷湧水場からは報告のない殻装飾を有し,新種である可能性が高い. 4.室内作業において,自生炭酸塩の酸素と炭素の安定同位体比測定,地層試料の含泥率測定,多数の岩石薄片作成を系統的に行ない,堆積環境推定の基礎的データが集まりつつある.
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