2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンから産出する化学合成化石群集の成立条件の解明
Project/Area Number |
20403015
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
間嶋 隆一 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (30202310)
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Keywords | 化学合成化石群集 / フィリピン / レイテ島 / メタン湧水 / 鮮新世 / ツキガイ類 / 地すべり堆積物 / 自生炭酸塩 |
Research Abstract |
本年度の主要な成果は以下である 1.Leyte島北西部の海岸沿いの地質調査を継続して行い,化学合成化石産出層準の確認のための柱状図を複数作成した.これらの試料からナノ化石と浮遊性有孔虫化石を抽出し,時代の確定を行っているが,一部化石の時代に矛盾があり,この検討を行っている.現在までに得られた結果では,前期鮮新世から更新世の地層であることがほぼ確定した. 2.Antipolo岬から,自生の大型ツキガイ類(Meganodontia acetabulum)の見事な産状を発見した.殻長が15cmにも及ぶ化学合成大型二枚貝の合弁化石が,自生的姿勢のまま海岸の平坦な露岩の広い範囲に多数発見され,leyte島で発見された化学合成化石で最も見事な産状である.この産地で底生有孔虫化石を採取し,湧水の有孔虫に与える影響を今後検討する. 3.底生有孔虫による古水深推定と湧水層準との比較を行った結果,湧水場はいずれも水深1000mよりも深い堆積環境であるという結論を得た.ただし,岩相の変化と有孔虫の示す古水深は必ずしも整合的ではないので,今後の検討が必要である. 4.Leyte島の化学合成化石群集と同時代の三浦半島の上総層群の化学合成群集の産出環境の検討を地表踏査とボーリング試料から行い,両地域の類似点と相違点を検討した.
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