2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス国シェンクアン寺院遺跡群保存計画提案のための現況及び建築様式に関する研究
Project/Area Number |
20404001
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
成田 剛 Nippon Institute of Technology, 工学部, 准教授 (10257214)
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Keywords | 東南アジア / ラオス / シェンクアン / 仏教寺院 / 仏堂 / Parmentier |
Research Abstract |
シェンクアンに散在する仏教寺院建築の実態については,Henri Parmentierが20世紀初頭に実施した調査研究が実質的には唯一の資料といっても過言ではなく,1世紀近くを経た現在に至るまで,シェンクアン建築を研究対象の中心に据えて行われたフィールド調査は見受けられない。2008年度は70ヶ寺の調査を行い,それにより既に調査済みの寺院と合わせ,計99ヶ寺の所在が確認できた。それらについてはGPSを用いて位置を記録し,マッピングを行った。うちParmentier調査対象遺構と確定あるいは推測されるのは36ヶ寺である。 Parmentier調査当時に廃寺ではなかった寺院について,これまでに確認できた寺院を見る限り,数棟のタートを除き,当時の形状を残す建造物は皆無である。シェンクアンのシム(仏堂)は木造上部構造を有するが,木造部は総て消失し,煉瓦造の基壇や壁体といった下部構造の一部を残すのみである。 これまでの調査で,Parmentier著書記載数をはるかに超える数の仏教寺院がシェンクアン中心地域に存在することが明らかとなった。Parmentier調査時以降に建立された寺院も含まれるだろうが,概観した限り,Parmentier調査対象寺院と共通する特徴を有した例が多く,研究を進める上で有用な資料であることは間違いない。シェンクアンの仏教寺院建築の建造年代については不明な点が多いが,史料が乏しいため,他地域との比較考察などを通して推察せざるを得ないであろう。その点も念頭に置きつつ,今後は未確認寺院の探索を継続するとともに,主要な寺院の伽藍配置,シムを中心にその形状や建設技法に関する調査・分析を行い,シェンクアン建築様式の特色の一端を明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)