2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヴェネズエラの近代・現代建築における自然換気・冷却・保温・採光のシステムと思想
Project/Area Number |
20404016
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松島 史朗 Toyohashi University of Technology, 地域協働まつづくりリサーチセンター, 准教授 (40422810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
助川 たかね 映画専門大学院大学, 映画プロデュース研究科, 教授 (10440421)
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Keywords | 中南米 / ヴェネズエラ / カラカス中央大学 / 温暖化 / 環境技術 / サステナブル建築 / 採光・通風 / 伝統様式 |
Research Abstract |
本研究の対象であるヴェネズエラの建築・生活様式に関する情報について、日本国内で入手できる数は極めて少ないが、多くの中南米研究機関を持つ北米においてさえ、他の中南米諸国と比べて、その数は少ない。従って、初年度は現地調査に向けた事前の情報収集に傾注した。まず、国内では、駐日ヴェネズエラ大使および大使館、ヴェネズエラと友好関係のある豊橋市の国際交流協会および同市親睦団体プエンテリコ・ヴェネズエラの協力を得て、情報収集のための国内外の機関や人材の紹介を受けた。次に、代表・分担両研究者の出身機関である米国ハーヴァード・コロンビア両大学で、その人脈を生かして、日本での入手が困難な文献・資料やインタビューによる主に英語での資料収集を行った。 これら日米での複数回にわたる予備調査を基に実施した初年度の現地調査は、首都カラカス市内に限定し、建築・生活様式に影響を与える要素(気候、地理、歴史、文化、産業、経済状況)が異なる地域を選定して実施した。またこの調査とは別に、歴史的建造物、ヴェネズエラ建築と相互に影響を与えあっているスペインやイタリアの建築家による建築物の空間構造を個々に調査した。 北米に近く、かつ欧州の文化を受け継ぐヴェネズエラは、かつてその石油資源の恩恵によってGDP世界一位となったこともあり、エネルギー消費型社会に一気に加速するのは時間の問題である。しかし、その後の経済的低迷のためか、一部オフィス・商業地区を除き、一般市民の住居・商業施設・歴史的建造物には未だ屋内と屋外を結ぶ自然環境に開いたシステムが多く残っている。次年度は、その優れた自然換気・採光のシステム事例を、カラカス市郊外およびコロ市にも拡大して数多く収集し、現代建築の諸問題に応用・実用化できるシステムとその思想的背景の発見という、国際的にも有意義な成果につなげることを目指す。
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