2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボルネオ低地フタバガキ林における植物-送粉者ネットワーク構造とその生成要因
Project/Area Number |
20405009
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
酒井 章子 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 准教授 (30361306)
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Keywords | ボルネオ / フタバガキ林 / 送粉 / 植物繁殖生態 / 一斉開花 / 動物-植物相互作用 |
Research Abstract |
当該年度は、野外調査活動として、おもにマレーシア・サラワク州ランビル国立公園で群集レベルでの植物-動物相互作用のデータを蓄積するとともに、繁殖フェノロジーの観察、既存のデータや標本の整理を継続して行った。とくに当該年度には一斉開花を観測することができ、送粉者の採集のよい機会を得た。また、予備解析的に、形態分類の困難な昆虫(アザミウマ類)について、塩基配列に基づく同定をこころみており、その結果は現在解析中である。 データ解析では、既存の文献データから他の調査地の植物-送粉者ネットワーク、また植物-種子散布者ネットワークのデータセットを収集した。これらとボルネオ低地フタバガキ林との比較を行うことによって、低地フタバガキ林では、送粉者の使い分けが温帯林より弱いことが示唆された。訪花頻度などのデータを合わせて解析した結果、これは送粉サービスの相対的な量が少ないことに起因するのではないかと考えられた。この結果については、現在論文執筆中である。系統関係を配慮した送粉システムの解析については、すでにショウガ科について解析を終えており、これに関しても現在論文を執筆中である。 成果発表としては、フタバガキ科サラノキ属の繁殖についての知見を短報としてまとめたほか、サラノキ属の送粉者であるハムシの季節性についての論文を受理させることができた。また、国際林冠学会および日本生態学会において、ボルネオ低地フタバガキ林の植物-送粉者ネットワークについて発表した。
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