2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20405016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 啓久 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (10128308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香田 啓貴 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (70418763)
宮部 貴子 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (10437288)
遠藤 秀紀 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30249908)
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Keywords | テナガザル類 / 染色体分化 / 分子系統 / 音声発達 / 音声音響解析 / 属間雑種 / バングラデシュ / タイ |
Research Abstract |
今年度は、タイ動物園協会との共同で、タイのチェンマイ動物園に飼育されている属間雑種を、染色体と形態学的に解析した。染色体解析と動物園の個体簿記録から、本雑種個体はNomascus leukogenysの母親とHylobates larの父親の間にできた個体でることが判明した。このデータから本属間雑種をConlarと呼ぶこととした。2007年に我々が記載した属間雑種は逆の両親構成だったので、Larconと呼ばれている。今回と前回の属間雑種は毛色のパタンが異なり、今回のものは腹部が茶色で、前回のものは黒と大きく異なることが明らかになった。これは両親の構成が異なることが影響していものと思われる。さらに、Khao Kheow Open Zooでの健康診断に参加し、4種15頭のテナガザル類の血液を採取し、血液培養による染色体標本とキットを用いたDNA抽出をおこなった。また、当初予定したいたマレーシアの調査許可が得られなかったので、バングラデシュを調査地に加え、テナガザル類で特異な種群であるHoolock hoolockの血液サンプルを取得し、染色体解析を開始した。現在、染色体彩色プローブを作製し、系統的な染色体進化を解析中である。染色体断片VIIq31の原猿からヒトまでの存在様式を解析し、霊長類内で有意に保存的であることを明らかにした。テナガザルの音声発達の研究では、音声の獲得に着目して分析を推進した。その結果、種特異的な音声を獲得する際にどうやら後天的な学習の効果が認められることが明らかとなった。その仮説をさらに推進するため、タイに大規模な行動観察可能な集団がいるかどうか、現地調査を実施した。次年度、大規模な行動実験に取り組み、成果に結びつける。骨格形態解析では、テナガザルを含めた霊長類の頭骨のCT撮像おこない、その撮像方法ならびに解析方法や展示方法を論文として明らかにした。
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Research Products
(13 results)