2009 Fiscal Year Annual Research Report
コウモリを自然宿主とする新興・再興ウイルス感染症の出現予測
Project/Area Number |
20405049
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本道 栄一 Yamaguchi University, 農学部, 准教授 (30271745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健 山口大学, 農学部, 教授 (90284273)
竹松 葉子 山口大学, 農学部, 准教授 (30335773)
水野 拓也 山口大学, 農学部, 准教授 (90398826)
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Keywords | オオコウモリ / 新興感染症 / ニパウイルス / テレメトリー / Argos衛星 |
Research Abstract |
コウモリを自然宿主とするウイルス新興感染症が世界を震撼させている。エボラ出血熱ウイルスおよびヘニパウイルスに対する抗体がPteropus属オオコウモリから、東南アジア諸国で広範に検出されてきている。一方で、オオコウモリの生態があまりよく知られていないことから、ウイルス性新興感染症の出現に関しては、その出現の予測が極めて困難な状況にある。そこで、昨年来、東南アジア諸国のオオコウモリにおける各種ウイルスに対する抗体の保有率を調査するとともに、タイ国においてライルオオコウモリに対するテレメトリー調査を実施してきた。本年度は、昨年までに首都バンコク近郊で採集し、タイ国カセサート大学に保管してあるサンプルを用いて、実際のウイルスが検出できるかどうかを同大学にてPCR法にて調査した。結果、ニパウイルスに関してはウイルスが検出できなかった。材料の採集時期は3月、6月、9月、12月であったが、これまでのタイ国におけるニパウイルス本体の検出は、5月採集の時期に限られていることから、ウイルスが検出されるのは時期限定つまり繁殖期(実際には報告がない)と深く関連している可能性が考えられた。タイ国は仏教国であり、オオコウモリの生息地は仏教寺に限られている。昨年までのアルゴス衛星を用いたオオコウモリの行動調査によりオオコウモリの1日の飛行距離が100キロを越えることを考えると、単に環境の変化だけで、最もねぐらとして安全な寺をオオコウモリが離れることは考えにくい。したがって、タイ国は東南アジア諸国でも特異な位置にあると位置づけ、他の国、特に、日本-台湾-ベトナムもしくは日本-台湾-フィリピンのルートでオオコウモリが交通するかどうかの調査を開始した。
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Research Products
(5 results)