2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20406006
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
有竹 浩介 Osaka Bioscience Institute, 分子行動生物学部門, 研究員 (70390804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌内 慎也 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (00397564)
丸山 敏彦 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (70414133)
星川 有美子 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (10390808)
早石 修 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (40025507)
永田 奈々恵 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (80390805)
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Keywords | 睡眠障害 / リポカリン / プロスタグランジンD合成酵素 / オレキシン / ヒスタミン / アデノシン / 等電点電気泳動 |
Research Abstract |
日本国民の5人に1人が睡眠に何らかの問題を抱え、10人に1人が日常生活に支障をきたす睡眠障害を発症し、睡眠障害や睡眠不足が原因の産業事故、交通事故、医療事故が増えており、その国家的損失額は3兆円と試算されている。この原因としては、睡眠や覚醒が最も身近な生理現象の一つでありながら、最も解明が遅れていたことに起因する。申請者の所属する睡眠研究グループは生理活性脂質のプロスタグランジン(PG)D_2が生理的な睡眠を誘発することや睡眠調節に関与するPGD_2とその合成酵素(リポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS))に関して、その情報伝達機構を分子生物学的、分子遺伝学的、薬理学的、生理学的に研究を行ってきた。本研究では、睡眠研究の先進国欧州で、特にナルコレプシーをはじめとした睡眠障害研究で著名なスイスチューリヒッヒ大学協力の下に、臨床試料(脳脊髄液および血液)中のPGD_2およびリポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)の質的、量的変化を詳細に調べ、睡眠と覚醒の生化学マーカーを同定し、睡眠障害の診断方法を確立することを目的とする。 本年度は、新たに提供された健常人と睡眠障害患者の臨床試料(脳脊髄液、血清)中のL-PGDS、更に睡眠調節に関与するPGD_2とアデノシン(安定代謝体のイノシン)、覚醒の調節に関与するヒスタミンを定量したところ、ナルコレプシー患者の脳脊髄液中のL-PGDS量は、健常人と比べて減少していることが判明した。一方、PGD2量、アデノシン量およびヒスタミン量は、ナルコレプシー患者と健常人との間に有意な差は認められなかった。更に、脳脊髄液中のL-PGDSの機能解析を行った。ヒト脳脊髄液を等電点電気泳動の後にウエスタンブロッティング法で分析すると、ほぼ同一の分子量(≒19kDa)で等電点の異なる6-8つのバンドが検出されることが判明した。これら等電点の異なるL-PGDSの成分比と病態との相関を分析することで、病態の臨床マーカーの開発に結び付くと考えられる。 本成果は、睡眠障害の新たな診断マーカー開発に有用である。
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Research Products
(5 results)