Research Abstract |
2008年9月と2009年2月に食事調査,生体計測,マラリア検査,尿検査,聞き取りを含む現地調査を実施した。2006年9月の道路と橋の復旧後,急速に再近代化が進行しつつあることはわかっていたが,今年度の24時間思い出しによる食事調査では,サツマイモ摂取頻度の漸減と米の摂取頻度の漸増は予想通りだったが,1つだけ劇的な変化が見られた。1995年にも2006年9月にもほとんど食べられていながった(2008年2月までは10%に満たなかった)ビスケットが,2008年9月に,突如として砂糖入り紅茶とともに43%もの人の朝食を占めるようになってしまったのである。2009年2月には紅茶はそのままだがビスケットを朝食にする人の割合が10%台に低下し,代わって自家製ケーキやパンを朝食にする人が増えた。ラーメンが食べられるようになったときも,1980年代初めにラジオを通して大宣伝が行われ,一気に浸透したそうだが,食生活の変化は近代化の過程で不連続に起こっていると考えられた。一方,健診の結果は,まだ健康状態にはそれほど変化がないことを示した。成人の体格について平均BMI(kg/m2)でみと,男性は増減しながらも23〜25,女性は22〜23とほとんど変化がなかった。また,尿検査で何らかの異常が認められた人の割合や血液検査の結果マラリア原虫に感染していると判明した人の割合は引き続き低下傾向にあった。しかし,村人がホニアラに行く頻度は増加し続けているし,男性がビールを飲む頻度も上がったので,今後の継続調査が必要であると考えられた。
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