Research Abstract |
1.ランダム写像に基づく学習方式の限界に関する結果 本研究で提案するランダム写像を用いた学習方式が扱う仮説は,3層のしきい値回路によってモデル化できる.仮説のマージンが大きく,中間層に現れる特徴ベクトルのノルムが小さいほど,仮説の凡化誤差限界が小さい.本研究では,中間層の素子の機能を非線形な関数に拡張しても,中間層が表す特徴ベクトルのノルムを小さく抑えようとすると,対称性を持つ関数を学習するためには指数的に大きい素子数が必要であることを示した.この結果は,提案学習方式を拡張したとしても,その効率化に限界があることを意味している 2.ランキング学習に関する結果 写像に基づく学習方式の開発の一環として,n個の要素の順列(ランキング)を仮説空間とするオンライン学習の問題に取り組んだ.この問題は,情報検索を始め,商品推薦,倒産リスク予測,バイオインフォマティクス,自然言語処理など様々な応用分野を持つ.標準的なオンライン学習の手法では,特徴ベクトル空間の任意の点を,与えられた凸多面体に写像する過程が本質的な部分であることが知られている.本研究では,順列の特徴ベクトルを0(n^2)次元の比較ベクトルで表現した場合と,0(n)次元の置換多面体の端点で表現した場合について,それぞれ効率の良い写像アルゴリズムを構築するとともに,提案学習方式の理論的な精度保証を与えた 3.ゲームの評価関数の学習に関する結果 ランキング学習の手法を用いて,将棋の局面評価関数を学習するシステムのプロトタイプを開発した.これは,実際の棋譜データを用いて,プロ棋士が打ちそうな手を,それ以外の手に比べてランクが上位になるように学習を行おうとするものである.予備実験では,わずか100局程度のデータで学習したにもかかわらず,美濃囲いや穴熊などの駒組みに高い評価値を与えるなど,特に序盤において自然な振る舞いを示すことが観察された
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