2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化マップに基づいた新しいアーキテクチャ構築と信号処理技術、その理論と応用
Project/Area Number |
20500208
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
和久屋 寛 佐賀大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40264147)
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Keywords | 自己組織化マップ / 欠損データ / パターン生成 / 時系列信号処理 / 位置ずれ / 時間伸縮 / 頑健性 / 発散式学習法 |
Research Abstract |
現在、一種の信号変換機として広く利用されている自己組織化マップ(SOM)について、本研究課題では、(1)新しいアーキテクチャの構築、(2)従来とは異なる信号処理技術の開発、(3)工学的な応用、という3点について重点的に取り組んでいる。 4年間にわたる本研究期間の3年目として、工学的な応用を視野に入れ、本手法の有効性について更なる検討を試みた。具体的には、i)部分データを取り扱うSOMの新しいアーキテクチャ構築、II)SOMの逆投影作用に基づいたパターン生成技術の開発、III)時系列信号処理を行うSOMのメカニズム解明、である。 1番目は、欠損部ありの部分データを用いて特徴マップを学習することに挑戦したが、当初、想定していたとおりには進展していない。また、これとは別に、前年度からの続きとして学習後の正答率改善に関する検討を行い、一定の成果を得た。 2番目は、ようやく学術論文が掲載されたものの、その後、直接的な進展はない。ただし、パターン生成に当たって、データの効果的な配置を実現する特徴マップについて試行錯誤を繰り返していたところ、異なる属性のデータを遠ざける「発散式学習法」のアイディアに到達し、その実現可能性を初歩的な計算機シミュレーションによって示した。通常は、類似した属性のデータを近付ける「収束式学習法」を採用しており、次年度以降には、もっと掘り下げて検討したいと考えている。 3番目は、筆順を考慮したオンライン文字認識課題への適用例である。これまでに複数勝者ニューロン形式を導入し、計算機シミュレーションによって位置ずれや時間伸縮に対して頑健な信号処理を実現できることを示した。そこで次のステップとして、実際の手書き文字パターンを扱う実験へ重心を移したところ、上述の勝者ニューロン数を適応的に変化させることで文字ごとの応答パターンが分離し、実問題への適用可能性に道が開けた。
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Research Products
(7 results)