2009 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク共役型受容体クロストークによるシナプス可塑性と学習の制御
Project/Area Number |
20500284
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田端 俊英 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (80303270)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / シグナル伝達 / シナプス可塑性 / 学習 / 記憶 / 運動 |
Research Abstract |
小脳プルキンエ細胞(PC)の代謝型グルタミン酸受容体mGluR1はG_<q/11>タンパクを介して小脳LTDを誘導する。我々はPCのmGluR1がB型γアミノ酪酸受容体(GABA_BR)と複合体化していることを見出した。正常脳髄液に含まれる数十nMのGABAや数mMの細胞外Ca^<2+>を受容したGABA_BRはG_<i/o>タンパク非依存的にmGluR1のグルタミン酸感受性を亢進させ、細胞外Ca^<2+>は培養PCのLTDを促進していることが分かった。一方、抑制性介在ニューロンの高頻度発火時にみられるような数μMのGABAを受容したGABA_BRはG_<i/o>タンパク依存的にmGluR1シグナルを増強した。小脳スライスにおいて内在性GABAのGABA_BRに対する作用を薬理的に遮断すると、小脳LTDが阻害された。GABA_BRはmGluR1シグナル系下流の増強を通じて小脳LTDを促進していることが示唆された。一方、PCにはG_<i/o>タンパク共役型アデノシン受容体(A1R)が機能発現していることを見出した。A1Rを低濃度のアゴニストで刺激すると、mGluR1シグナルが抑制された。同じG_<i/o>タンパクと共役しているにも関わらずGABA_BRとA1Rが正反対の効果を発揮した事実は、これらGPCRにG_<i/o>タンパク非依存依存的シグナル経路が連関していることを強く支持する。マウス小脳表面にGABA_BRアゴニストを投与すると、小脳LTD依存的運動学習である回転棒タスクや視機性動眼反射(OKR)順応の成績が向上した。とくにOKR順応ではアゴニスト投与当日のトレーニングで獲得した学習成果が翌日まで保持されることが分かった。また本実験を実施するために、マシンビジョン技術を応用した小動物用眼球運動測定装置を開発した。以上の結果は、中枢ニューロンにおけるGPCRのクロストークがシナプス可塑性や学習を制御する可能性を示唆している。
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