2010 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク共役型受容体クロストークによるシナプス可塑性と学習の制御
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20500284
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田端 俊英 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (80303270)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / シグナル伝達 / シナプス可塑性 / 学習 / 記憶 / 運動 |
Research Abstract |
我々は先行研究において、小脳プルキンエ細胞の1型代謝型グルタミン酸受容体mGluR1が別種のGタンパク質共役性受容体(B型GABA受容体GABAbRなど)から機能修飾を受けることを示した。このような機能修飾はmGluR1が媒介する小脳長期抑圧などのシナプス可塑性ひいては小脳運動学習を促進/阻害することが考えられる。前年度までの研究において、マウスの小脳片葉にGABAbRアゴニスト(バクロフェン)を注入すると、小脳長期抑圧依存的な視機性動眼反射(OKR)順応(長時間動く視覚パターンに暴露することで、パターンに対する眼球の追随性=OKRゲインが向上する学習)が促進される可能性が示唆された。本年度においては、異なる実験者チームにOKR測定を実施させ、上記知見の再現性が高い確度で確認された。すなわち、トレーニング初日のOKRゲイン増加の時間的推移にはバクロフェン投与群と統御群との間に差異が認められなかったが、トレーニング2日目においてバクロフェン投与群は初日に達成した学習成績を保持していたのに対し、統御群は保持していなかった。同じ手続きにより局所麻酔剤を注入したときはトレーニンク初日のOKRゲイン増加が見られなかったことから、小脳片葉のOKR順応に対する関与が確認された。また用いた自主開発のOKR測定装置が極めて高い精度で眼球方位を推定でき、学習成績を正確に評価できていることが確認された。これらの結果は、GABAbRにの活性化がOKRに関する長期記憶の固定プロセスを促進する可能性を示唆している。また我々はin vivoの小脳片葉で誘発された小脳長期抑圧を、immunoblotによりシナプス画分のグルタミン酸受容体GluR2サブユニットの減少として捉える解析方法を確立した。現在、この方法を用い、GABAbRアゴニストがin vivoで小脳長期抑圧を促進するか否かを精査している。
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