2008 Fiscal Year Annual Research Report
マルチニューロン計測を用いた大脳皮質局所細胞集団による情報表現能力の定量的解析
Project/Area Number |
20500285
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 弘 Osaka University, 生命機能研究科, 准教授 (80304038)
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Keywords | 霊長類 / 視覚連合野 / 視覚 |
Research Abstract |
本申請研究では、マルチニューロン計測手法を用いて、大脳皮質局所細胞集団が機能的モジュール構造から推定されるように特定の情報のみを表現しているのか、それとも最近の研究が示唆するように多様な情報を表現しているのか、局所細胞集団による情報表現様式を明らかにすることを目指す。 平成21年度は、2頭のマカク属サル(ニホンザル、1頭;アカゲザル、1頭)を用いて実験を実施した。直線状に32個の計測点を50um間隔でもつシリコンマルチプローブ電極を用いて、あらかじめ用意した自然画像を含む128枚の視覚刺激に対する神経活動を、下側頭葉皮質より計測した。計測信号に対してオフラインでスパイク抽出・分離を行い、単一細胞活動を得た。これまで147回の計測実験を行い、最大で86個、平均で32個の細胞より同時に神経活動を計測することに成功した。また、実験技術に関する情報収集をおこなった。 当該手法をラット体性感覚野にも適用し、局所細胞集団による情報表現様式に関する研究も実施した(Ikezoeら、学会発表1)。さらに、得られたデータをもとに皮質表面上にどのように情報が表現されているのかについて理論的考察をおこなった(Hosodaら、論文1)。 今後、得られたマルチニューロン活動に対して、多細胞活動デコーディング方法を適用し、相互情報量および呈示刺激推定成功率を計算する。この解析より、隣接細胞の表現する情報が限られているのか、それとも多様な情報を保持するのか、を明らかにし、局所の細胞集団による情報表現様式について定量的に明らかにする。
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