2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経系の発生、発達、再生過程におけるGABAシグナルの変化
Project/Area Number |
20500310
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高山 千利 琉球大学, 医学研究科, 教授 (60197217)
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Keywords | GABA / mouse / KCC2 / spinal cord / development / brain stem / regeneration / plastisity |
Research Abstract |
神経系の発生、再生及び可塑性へのGABAシグナルの関与を解析した。 1.脊髄発生への関与 脊髄におけるGABAシグナルの発達変化を引き続き解析した。その結果、脊髄前角は後角、大脳・小脳とは異なる特徴的な発達変化をすることが明らかとなった。 1)GABAは常に抑制性に作用する。 2)前角のGABAニューロンは当初投射ニューロンであり、軸索は辺縁層(白質)に伸びる。シナプスは最初に辺縁層内で形成され、漸次灰白質内に広がる。そして、最終的に白質の軸索は消失する。 3)シナプス形成とトランスポーターの局在が時間的空間的に一致せず、GABA排出機構の形成が遅れる。 以上の事から、脊髄前角形成へのGABAシグナルの関与は少ないと考えられた。 2.神経再生への関与 舌下神経を切断・縫合後のGABAシグナルの変化を解析した。 1)一過性にアセチルコリンの合成が消失し、KCC2の発現が著しく低下する。軸索が再到達する14日目以降に再び上昇し、28日目で回復するその他の要素に大きな変化は生じなかった。 2)電子顕微鏡観察で、抑制性シナプスの解離が見られた。 以上の事から、神経損傷後、シナプスの解離等が誘因になってGABAシグナルは幼弱期に逆戻りし、GABAは軸索の再伸長を助ける事が明らかになった。 3.可塑性への関与 末梢器官(髭領域)からの入力変動により形態的に可塑的な変化を生じる大脳皮質・脳幹三叉神経核におけるGABAシグナルの発達変化を解析した。 1)大脳皮質では、臨界期が終了する時期とGABAシナプスの形成・GABAによる抑制開始の時期が一致したことから、可塑性維持へのGABAシグナルの関与が示唆された。 2)三叉神経核における臨界期終了時期を改めて検討したところ、従来の説より遅くまで可塑性が残る事が明らかになった。GABAの作用が抑制性に変化する時期は可塑性の消失より早く、今後のさらなる検討が必要であると考えられた。
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Research Products
(11 results)