2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500315
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
林 謙介 上智大学, 理工学部, 教授 (50218567)
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Keywords | 神経細胞 / 微小管 / 神経発生 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
神経細胞は樹状突起と軸索という2種類の突起をもっており、どちらの突起もその形態が神経の機能に重要な役割を果たしている。2種類の突起の形成機構は異なるはずであるにも関わらず、その研究は軸索では良く進んでいるが、樹状突起では比較的遅れている。本研究は、樹状突起の微小管が他の細胞にはない特徴的な配勾を持っていることに着目し、次のような仮説立て、検証することを目的に行った。 「神経細胞では、樹状突起全体が微小管形成中心の機能を担っているのではないか。つまり、樹状突起において微小管は重合核形成され、アンカーされている。その機能を制御することによって、樹状突起の形態は制御されているのではないか。」 そこでまず、神経細胞のどこで微小管の重合核形成が起きるのかを直接観察することにした。マウス大脳の神経細胞を培養し、ノコダゾルで微小管を破壊したのちノコダゾルを除去し、微小管の再形成を観察した。その結果、神経細胞の中心体からは微小管が再形成されないこと、樹状突起において散在的で微細な微小管が再形成されることが観察された。このことは、重合核形成を担うガンマチュブリンが神経細胞では中心体に局在せず、樹状突起内に散在することと良く合致する。次に、微小管のマイナス端を中心体にアンカーするニナインが、神経細胞では中心体に局在しない理由を探るため、ニナインの中心体結合ドメインを神経細胞に発現させ、その局在を調べた。その結果、ニナインの中心体結合ドメインのうち、C端にあるものは神経細胞の中心体に結合することが分かった。このことは、ニナインは神経細胞では特異的になんらかの修飾をうけ、中心体から遊離することを示唆している。
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