2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES細胞から神経幹細胞・神経細胞への新規分化誘導法の確立
Project/Area Number |
20500339
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井上 順雄 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (50159985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 孝 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90150060)
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Keywords | ES細胞 / 胚性幹細胞 / 神経分化 / 神経幹細胞 / 神経細胞 / アストロサイト |
Research Abstract |
ヒトES細胞から神経系の領域に特異的な種々の神経幹細胞および神経細胞を調製する分化誘導法を確立することを目的に、マウスES細胞およびサルES細胞について確立したNeural Stem Sphere法(NSS法)を、ヒトES細胞に適用した。ヒトES細胞のコロニーは、アストロサイト条件培地(ACM)中で浮遊培養することによって、球体の細胞集合体であるNSSに成り、このときES細胞は一方向的に神経幹細胞、さらに神経細胞に分化した。領域に特異的なマーカー遺伝子の発現量は、神経幹細胞が主に存在する培養12日目のNSSでは、前脳と中脳のマーカーの発現が顕著であるのに対して、神経幹細胞と神経細胞が存在する培養20日目のNSSでは、12日目と比較して前脳のマーカーの発現が減少して、中脳のマーカーの発現が増加した。さらに、培養15日目と20日目のNSSを神経幹細胞の増殖因子添加条件で接着培養することによって調製した均質な神経幹細胞は、Neurosphere形成能を持ち、神経細胞への分化能も維持している一方、興味深い生物学的特徴の違いがあることを見出した。これらの結果は、浮遊培養日数を変えることによって、異なる領域の神経系細胞を調製することができる可能性を示す重要なものである。一方、マウスES細胞では、浮遊培養にACMを用いるNSS法(原法)では、中脳から後脳の領域の神経系への分化誘導が優位であるが、ACMを変えるNSS法の変法によって、前脳から中脳の領域への分化誘導を優位であることを見出し、培養液を変えることにより、脳のより前方の領域への分化を誘導できることを示した。また、培養20日目のNSSには、ドーパミン作動性神経細胞のマーカー遺伝子が他の神経伝達物質関連遺伝子よりも顕著に発現することを明らかにし、さらに、調製した神経幹細胞からドーパミン作動性神経細胞に分化させることにも成功した。
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Research Products
(25 results)