2008 Fiscal Year Annual Research Report
MOCA遺伝子改変マウスにおける神経細胞の形態形成と軸索再生の機序解明
Project/Area Number |
20500349
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
行方 和彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70392355)
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経化学 / 生体機能利用 / 再生医学 / 発現制御 |
Research Abstract |
MOCAは神経細胞に特異的に発現しRac1を活性化する機能を持つ。我々はMOCAの活性中心となる5つのアミノ酸残基を同定した。これらのアミノ酸を1つでもアラニンに置換するとRac1を活性化出来ないことから、MOCAの活性には必須のアミノ酸残基であることが判明した。さらに、これら活性中心となるアミノ酸残基は、MOCAのホモローグであるDock1、Dock4でも同じ位置にあり、Dock family全体に共通している可能性が考えられる。今後はさらに多数のホモローグで検証する必要がある。緑内障は主要な失明原因であるが、現在のところ十分に確立した治療法はない。グリア型グルタミン酸トランスポーターの機能低下によるグルタミン酸のオーバーロードが緑内障発症の大きな要因であることが示唆されており、グルタミン酸トランスポーターを活性化することが新たな治療法開発に繋がると考えられる。そこで、グリア型グルタミン酸トランスポーターを活性化する物質を検索したところ、我々はIL-1にその機能がある事を明らかにした。IL-1の作用により細胞内ナトリウムが低濃度に維持され、その結果グルタミン酸トランスポーターの活性が増大されていた。また、このようなIL-1による作用にはcaspase-11の発現誘導にともなうアクチン繊維の脱重合が必要であることも判明した。一方、網膜の組織培養にIL-1を投与すると、神経細胞へのグルタミン酸毒性が著しく軽減していた。これらの結果は、今後の緑内障治療研究を考える上で重要な所見と考えられる。この成果は国際誌、Molecular and Cellular Biologyに掲載された。
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Research Products
(1 results)