胸痛消失後の心筋虚血診断:組織トラッキングによる高感度超音波診断システムの開発

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20500418
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 浅沼 俊彦 Osaka University, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任講師(常勤) (80379271)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 石蔵 文信 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50303970) ; 中谷 敏 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80393221)
• Keywords: 診断システム / 超音波 / 心筋虚血

Research Abstract

胸痛消失後の心筋虚血診断はしばしば困難である。このような状況でも「虚血の既往」を簡便に診断できれば、臨床で有用と考えられる。われわれは、本研究において、非侵襲的な超音波診断法を用いた「虚血の既往」の診断システムを確立したいと考えている。本年度は、この目的のため、虚血改善後に残存する微細な壁運動異常同定のための有効な指標の選定を行った。
人工呼吸器管理下の麻酔開胸犬(6頭)において、動脈圧測定用のカテーテルを挿入後、左肋間から開胸し、左回旋枝近位部に冠動脈閉塞器と超音波血流プローブを装着した。左回旋枝を完全閉塞(4分間)後、再灌流し、その前後で左室短軸の超音波画像を経時的に取得した。得られた画像から虚血領域と非虚血領域の一心周期の心筋ストレイン値を定量的に評価した。収縮期の指標として、収縮期最大ストレイン値、弛緩期の指標として、等容拡張期の最大ストレイン値を検討した。虚血・非虚血領域はリアルタイム心筋コントラストエコー法を用いて評価した。
左回旋枝閉塞前においては、虚血領域、非虚血領域ともに各指標に変化はなかったが、虚血時においては、収縮期の最大ストレイン値は有意に低下し、等容拡張期の最大ストレイン値は有意に上昇した。等容拡張期の指標の上昇は、虚血により生じた駆出後収縮によるものと考えられた。再灌流後、収縮期の指標は速やかに改善傾向を示したが、弛緩期の指標は再灌流後30分以上持続する傾向があった。