Research Abstract |
理学/作業療法士の教育現場において,学生による検査/訓練手技などの実習教育のための膝関節障害模擬患者ロボットを開発する.本研究の特徴は,人体における関節部の相対的な運動は「滑る」,「転がる」,「離れる」という考えに基づいて,人体に近い膝関節ロボットを開発することで,再現可能な障害の種類増加や検査/訓練手技の範囲の拡大を図る.これにより従来研究に比べて教育効果の向上が期待できる.研究成果を以下に示す. 1.患者ロボットの膝関節機構の設計・製作:制御性能の向上を目指して,ワイヤ駆動系におけるプーリの最適配置計算法を提案し,試作機により検証を行った. 2.運動制御アルゴリズムの開発:プーリの最適配置に基づき,ロボットの順運動学と逆運動学を導出し,PID制御を組み合わせることで,運動制御アルゴリズムを構築した. 3.膝関節障害の再現のためのアルゴリズムの開発:療法士の指導の下,膝関節障害の患者を触診させてもらい,痙縮,固縮,拘縮,可動域制限といった障害に対する他動運動を体験した.この実体験から得られた感覚と膝関節障害モデルのパラメータのチューニングから,膝関節障害の再現のためのアルゴリズムを開発した.本年度は,拘縮を除く,痙縮,固縮,可動域制限の再現を可能とした. 4.リハビリ現場における評価検証:複数の療法士を対象に,患者ロボットの他動運動を体験してもらい,痙縮,固縮,可動域制限の再現性を評価してもらった.基本的な障害動作が再現できていることを確認した.一方で,制御遅れによる操作フィーリングの違和感,膝関節障害モデルのモデリング誤差による再現性不足などが,問題点として明らかになった.
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