2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者に対する仮想環境による運動療法が身体・認知機能に及ぼすシナジー効果の研究
Project/Area Number |
20500485
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
田中 聡 Prefectural University of Hiroshima, 保健福祉学部, 教授 (40405519)
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Keywords | 仮想環境 / 運動療法 / 運動機能評価 |
Research Abstract |
今年度は,17名(平均年齢70.6歳,男性7名,女性10名)の高齢者を対象に臨床応用に向けて身体機能評価項目について検討を行った。評価項目として,筋力測定は握力と膝関節伸展筋力,バランス評価は開眼片足立ち時間,ファンクショナルリーチテスト,身体柔軟性評価は長座体前屈を測定し,さらに高精度筋量計を用いその妥当性,信頼性について検討した。その結果,抽出した評価項目は,平均年齢70.6歳の高齢者においても過負荷とならず測定可能であり安全性も確認できた。高精度筋量計の測定結果からは測定肢位を一定にすることで高い信頼性が得られ,また貴重な身体組成データとなる得ることが確認できた。以上の結果より臨床評価では上記の評価項目を使用し身体機能検査を行うこととした。 次に,大学生を対象に仮想環境内で運動療法を行う装置の安全性,有効性について実験を行った。使用した装置はVRスポーツ社製バーチャル瓦割りとした。このアイテムは,飛来してくる長方形の瓦の一辺に切れ目が入っており,その切れ目の方向にセンサを装着した上肢を動かし瓦を割るという課題である。センサが運動方向と一致したと判断すると瓦が音とともに割れ加点される。与えられた視覚映像課題に対し,どの様な身体的運動を行うか重心動揺軌跡から検討を行った。大学生を対象とした実験では,課題映像を任意に設定することで目的とする重心動揺を行わせることが可能であった。重心動揺を最少とするには飛来する瓦を中心部に集め,一方,重心を左右に動揺させるのであれば,瓦を左右に飛来させることで実現可能であったが,前後方向への動揺は視覚課題からは誘導ができなかった。,瓦を割るという上肢の動作は個人差が生じ,今後動作を制約するか検討が必要である。 今後は,本装置を高齢者の運動療法装置として実際に使用し身体機能と認知機能に及ぼす相乗効果について臨床評価を行う。
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Research Products
(1 results)