2010 Fiscal Year Annual Research Report
調製へのフィードバックを目指した介護・治療食品の粘弾性評価
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20500490
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
淺香 隆 東海大学, 工学部, 准教授 (50266376)
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Keywords | 介護食 / 治療食 / 流動食 / 嚥下食 / 経腸栄養剤 / 増粘剤 / テクスチャー / 粘度 |
Research Abstract |
本年度は市販の増粘剤を用いて調製したゲル体をはじめ、経腸栄養剤に対する増粘剤添加の影響を継続して調査した。さらに病院で調理したペースト食のような流動食やソフト食のような嚥下食について、「かたさ・もろさ・弾力性・付着性・凝集性」の各指標が得られるテクスチャー測定と評価を行った。なお、介護・治療食の物性は厚生労働省の「えん下困難者用食品」の物性測定指針に則り、温菜については20℃と45℃、冷菜については20℃と10℃で評価した。さらにペースト食(流動食)についてはB型ならびにSV型粘度計による粘度測定も行った。 これらの結果、増粘剤濃度と共に粘度は増加するが、増粘剤の種類により粘度が線形変化するものと非線形変化するものが存在することを明らかにした。さらに経腸栄養剤へ増粘剤を添加すると、昨年度の研究結果に加え、種類は異なるが同一熱量・粘度の経腸栄養剤であっても、経腸栄養剤と増粘剤の組み合わせによっては粘度やテクスチャーの各指標が大きく変化するという結果を得た。この理由は、経腸栄養剤に含まれる増粘剤(安定化剤やゲル化剤)と市販の増粘剤に含まれる増粘多糖類やゲル化剤が相乗あるいは拮抗した効果によると推察した。 一方、医学部付属病院にて患者へ提供しているペースト食やソフト食のような治療食のテクスチャー評価では、同一食材を用いたペースト食であっても調理手や調理方法によりテクスチャーや粘度が大きく変化することを確認した。さらに増粘剤の種類によっては嚥下ピラミッドやえん下困難者用食品許可基準を大きく上回る物性指標が得られ、急遽、病院での食材・増粘剤の再選定や調理方法の検討へとフィードバックされた。なお、本成果の一部は、平成22年9月に開催された第71回応用物理学会学術講演会(長崎大学)にて発表した。 以上、交付された補助金にて購入した設備類を利用して治療食の粘弾性評価を行った。官能評価までは実施できなかったものの、本課題の主眼である「介護・治療食品の調製へフィードバック」は達成できたと自負している。
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Research Products
(1 results)