2009 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動知覚の誤差修正メカニズムの解明:感覚運動表象の学習効果の検証
Project/Area Number |
20500503
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 秀幸 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (70231412)
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Keywords | 知覚 / 運動制御 / 行動学 / 脳・神経 / 学習 |
Research Abstract |
身体運動知覚の誤差修正メカニズムを明らかにすることを目的として,運動習熟度と意識的な身体運動知覚の正確性との関連性を解析した.運動課題は,スクリーン上を右から左に動くターゲットの軌跡を追跡することであった.ターゲットは移動途中で消失し,被験者はターゲットが消えた後も軌跡を正確に追跡する練習を繰り返した.実験被験者には追跡動作の視覚フィードバックは与えられなかったが,追跡パフォーマンスの成績は各試行後にフィードバックされた.追跡練習の結果,ターゲット消失後の追跡パフォーマンスは有意に向上し,追跡中の手の位置判断の誤差は有意に低下した.この結果は,運動スキル練習の一つの意義として,正確な動作の繰り返しが身体運動知覚の精度を高めることにあることを示唆している.しかし一方で,視覚フィードバック情報なし状態のターゲット追跡練習が,実際には見えない手を追跡する滑動性追跡眼球運動を促進し,結果として,手の位置判断が正確になった可能性が考えられた.そこで眼球運動計測を含めた実験系の構築を試みたが,残念ながら現有設備では眼球運動計測において十分な測定精度を得ることができなかった.眼球運動が身体運動知覚精度に与える影響については,今後の研究課題である. 他方,これまで本研究に用いた動作は多関節運動であり,意識的身体運動知覚に対する求心性の固有受容感覚情報の貢献を十分に議論できない問題点を含んでいた.そこで年度下半期では,肘関節の屈曲伸展動作(単関節運動)中の運動知覚判断精度を計測する実験装置の開発を行った.被験者はアルミ製回転アームに前腕を載せ,アーム先端部のレバーを握り,屈曲-伸展を繰り返す装置を製作した.肘の伸展と屈曲角度は,アームに取り付けたロータリーエンコーダで計測した.アームはステッピングモータで回転させることができ,これによって被験者の腕を受動的に屈曲・伸展させることが可能となった.
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