2008 Fiscal Year Annual Research Report
不登校児の自然体験療法過程における治療的要因に関する研究
Project/Area Number |
20500510
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 昭裕 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (10251076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 仁 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30203334)
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Keywords | 自然体験療法 / キャンプ / 風景構成法 / 構成型 / セラピー / 体験 |
Research Abstract |
本研究は、キャンプなどの自然体験療法の不登校児への治療的要因について検討するものである。本年度は、キャンプを体験した不登校児の風景構成法(The Landscape Molltage Technique)における描画の構成型とアイテムに着目し検討を行った。不登校児の構成型の特徴は、V型が最も多く、続いてIV型であり、同年代の子どもの構成型に比較すると低い構成段階を示し、自我発達において「自己中心性」の強い発達段階であった。また、キャンプ体験後に18例中6例が上位の構成型への変化を示した。これらのことから、自然体験療法は、不登校児の自我発達に肯定的に影響することが明らかになった。 キャンプ体験後のアイテム描画の特徴では、キャンプ体験前後で有意な差が認められるアイテムは少なかった。しかし、アイテムへの彩色については、有意差を示し線描や輪郭の強調が認められた。体験の影響として情動の亢進が推測され、キャンプの達成などによる自信などの快感情を強く表現したことがうかがえる。このような結果は、不登校児の事例研究からも明らかにされ、風景構成法の構成型の変化が大きい事例は、不登校児の内的体験も意義深い体験であることが示された。 以上のことから、自然体験療法は、不登校児の自我発達において肯定的な影響を及ぼすことが明らかになった。また、情動面においても肯定的な影響が示された。これらは、いずれも自然体験療法の治療的な要因を検討する上で貴重な知見といえるであろう。一方で、変化が認められなかった事例も存在し、このような事例の自然体験療法と風景構成法の関連を検討することも課題として示唆された。
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