2008 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代関東農村における剣術流派の存在形態に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20500528
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
数馬 広二 Kogakuin University, 工学部, 教授 (30204407)
|
Keywords | 友松偽庵 / 未来記念流 / 外他流 / 江武知明流 / 新当流 / 冨田流 / 堅田 / 居初家 |
Research Abstract |
「研究の目的」のうち今年度は、(1)農村における剣術流派を内部から支えたのは、一部有力門人の経済力・政治的力量であった。(2)帰農した中世武士によって、江戸時代の農村に武芸が伝承されたという2つの仮説を明らかにするため、千葉県に普及した外他流、群馬県に普及した馬庭念流、岐阜県大垣に残る外他流文書、新当流文書の調査を行った。 (1)彦根藩における念流の調査16世紀末、上野国に広がった馬庭念流の中興の師、友松氏宗(偽庵)は彦根藩で未来記念流を指導した。友松の弟子、永居新五左衛門が、柳生新陰流と未来記念流の2流を併せた「江武知明流正法兵法剣術之書」を複写した。(延宝2年(1674)すなわち念流は、友松が彦根と上州へ伝えたことがわかった。 (2)大垣藩におけり外他流文書、新当流文書の収集馬庭念流にも影響のあった新当流文書閲覧(大垣市立図書館)天文年間、文禄年間の新当流文書5点を閲覧・複写した。鹿島の神人がすでに大垣にも1500年代に大垣に伝えていたことがわかる。 (3)伊藤一刀斎の近江堅田出身説の調査近江国堅田(滋賀県大津市堅田)は、外他流を創始した伊藤一刀齋の出身地という説がある。その堅田で居初寅雄家は1100年続く琵琶湖船頭頭の家。ここで外他流の祖流、冨田流文書(寛永年間)が所蔵されており、堅田水軍と総合武芸、伊藤一刀齋そして関東への伝播についてのラインが結びつく可能性がでてきた。 (4)外他流の調査と研究発表伊藤一刀斎が中世房総に伝えた外他流について門人帳を行い、水軍(里見水軍)との関係を日本武道学会体41回大会で発表した。なお江戸市中における剣術道場の調査については21年度に継続して行う。
|
Research Products
(3 results)