2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500563
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
岡川 暁 Nihon Fukushi University, 健康科学部, 教授 (10233305)
|
Keywords | 脊髄損傷者 / 神経科学 / 伸張反射 / 姿勢反射 / 随意運動 / 下肢切断者 |
Research Abstract |
静止状態でのWheelie動作によるバランス制御機構を検討した。対象は、男子大学生3名、この内2名は健常者であり、もう1名は下肢切断者であった。また、健常学生の内1名は、5秒以上安定してWheelie動作が出来ない者であった。被検者の頭頂、耳垂、第7頸椎棘突起、肩峯、外側上顆、手首、大転子、および車椅子後輪の車軸にマーカーを設置し、Wheelie動作開始直前から10秒間程度、矢状面にてビデオ撮影を行った。また、三角筋前部および後部、上腕二頭筋および上腕三頭筋より筋電図を導出し、肘関節屈曲・伸展の角度変位をゴニオメーターにて計測した。 映像に基づき、(1)頭頂と耳垂、および第7頸椎棘突起と大転子を結ぶ線のなす角度 (2)頭頂と耳垂を結ぶ線と鉛直線のなす角度を解析した。 (1)は体幹と頭部の位置関係を示す指標とし、頸反射の検討に用い、(2)は、頭部と地面の位置関係を示す指標とし、迷路反射の検討に用いた。Wheelie動作ができる健常学生Aと出来ない健常学生Bとの比較より、Bでは下肢の伸展動作が発現することによりバランス調節が困難になっていること、この現象は、頭部が前屈していること、および頭部が地面に対して前屈も後屈もしていないことから、主として頸反射由来であることが推察された(本被検者では、前屈角度が30度を越すと、頸反射が発生し。下肢が伸展し始めていることが推察された)。これに対し、AではBに比して(2)が大きく、頭部が地面に対して後傾していることから、頸反射と迷路反射がお互いにその影響を打ち消し合い、下肢の伸展が発生せず、バランス調節を容易にしていることが伺われた。 Wheelie動作ができる下肢切断者の画像データ、および上肢筋の筋電図に基づく生理学的な指標の解析は、現在実行中である。
|