2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動時に活性化される骨格筋AMPキナーゼの調節機構と修飾因子に関する研究
Project/Area Number |
20500576
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 達也 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (00314211)
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Keywords | AMPキナーゼ / 骨格筋 / 運動 / 糖代謝 / エネルギー代謝 / 糖輸送 |
Research Abstract |
1.水溶性桑葉(Morus alba leaf)抽出物による骨格筋AMPキナーゼ(AMPK)活性化:単離ラット骨格筋を用いた実験系において、桑葉抽出物がAMPKαサブユニットリン酸化を濃度・時間依存的(≧4.28mg/ml,15分)に亢進するとともに、骨格筋に2種類存在するα1、α2サブユニットをともに活性化することを示した。また、桑葉が糖輸送担体制御因子AS160をリン酸化するとともにインスリン非依存的糖輸送を活性化する一方で、インスリン依存的糖輸送に関与するAktリン酸化には影響しないこと、アデノシン3リン酸とクレアチンリン酸含有量に影響を与えないことを示した。以上より、桑葉は、運動と類似してAMPKを急性的に活性化し、インスリンとは別の機序をもって糖輸送を促進すること、しかし運動とは異なり細胞内エネルギーに依存しない機序を介してAMPKを活性化することが示唆された。2.加齢、不活動による骨格筋特性の変化:長期的な不活動によって骨格筋に易疲労性が惹起される一方で、加齢骨格筋において持久的運動機能が維持されることから、乳酸代謝に関与する因子に着目して耐疲労性に違いが生じる分子機構を検討した。その結果、加齢ラットの筋では、乳酸代謝に関わるモノカルボン酸輸送担体や解糖系・ミトコンドリア系酵素が乳酸蓄積を抑制する方向に変化する可能性が明らかとなった。3.骨格筋の代謝特性と耐疲労性との関連:骨格筋線維の骨格タンパク質複合体であるdystrophin-glycoprotein complex(DGC)およびfocal adhesion complex(FAC)とに着目し、DGCおよびFACの主要構成成分ジストロフィンおよびβ1インテグリンの発現量を、筋の機能的・代謝的特性を反映するミオシン重鎖アイソフォーム組成比と比較した、その結果、両者が持久的代謝特性を持った筋ほど多く存在することが明らかとなり、持久的運動における効率的な張力伝達における役割が示唆された。
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