2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動時に活性化される骨格筋AMPキナーゼの調節機構と修飾因子に関する研究
Project/Area Number |
20500576
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 達也 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (00314211)
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Keywords | AMPキナーゼ / 骨格筋 / 運動 / 糖代謝 / エネルギー代謝 / 糖輸送 |
Research Abstract |
1.カフェインによる骨格筋AMPキナーゼ(AMPK)の活性化:本年度の研究では、単離ラット骨格筋を用いた実験系において、カフェインが、濃度・時間依存的(≧3mM, 15分)に骨格筋AMPKαサブユニットリン酸化を亢進するとともに、骨格筋に2種類存在するα1、α2活性サブユニットをともに活性化することを明らかにした。また、カフェインによるAMPK活性化が、acetyl coenzyme A carboxylaseのリン酸化やインスリン非依存的糖輸送速度の亢進を伴うとともに、筋細胞のエネルギー状態(クレアチンリン酸濃度)を有意に低下させることを示した。この結果は、カフェインが運動(筋収縮)に類似して、骨格筋AMPKを急性的に活性化する作用を有することを示すものである。近年の疫学研究においてコーヒーや緑茶などカフェインを含有する飲料の摂取量と2型糖尿病の発生率が逆相関することが報告されており、この効果に骨格筋AMPKの活性化が関与していることが示唆される。2.筋収縮による骨格筋糖輸送活性化とそのシグナル伝達におけるロイシンの調節作用:本年度の研究では、単離ラット骨格筋を用いた実験系において、分岐鎖アミノ酸ロイシンが、筋収縮によって活性化されるインスリン非依存的糖輸送とその制御に関わるシグナル伝達メカニズムとに及ぼす影響を検討した。電気刺激による筋収縮に反応して亢進したインスリン非依存的糖輸送と、AMPKリン酸化、p70S6キナーゼリン酸化が、ロイシン存在下において有意に亢進した。また、ロイシン存在下においてAMPK上流分子Ca2^+/calmodulin-dependent protein kinase kinaseの阻害剤STO-609、またはp70S6キナーゼの阻害剤rapamycinを作用させたところ、ロイシンの糖輸送促進効果とAMPKリン酸化促進効果はともに消失した。以上より、ロイシンが筋収縮によって活性化される骨格筋糖輸送をさらに促進するとともに、その作用発現にはp70S6キナーゼを介したAMPKの活性調節が関与することが示唆された。
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