2009 Fiscal Year Annual Research Report
グレリンのエネルギー同化作用による骨格筋代謝機能改善の可能性に関する研究
Project/Area Number |
20500580
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
十枝内 厚次 University of Miyazaki, 医学部, 講師 (80381101)
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Keywords | QOL / 筋肥大 / 生理活性物質 / 肥満 / 老化 / 内分泌機能 / 生活習慣 / 運動 |
Research Abstract |
我々は、廃用性筋萎縮の動物実験モデルである後肢懸垂を用いて、グレリンの慢性投与が廃用性筋萎縮を抑制し、筋萎縮からの回復を促進することを明らかにした。本年度はその作用機序について検討を加えた。通常飼育したマウスにグレリンを単回投与すると、血中成長ホルモン濃度は投与10分後において投与前の約20倍に増加する。この急性反応は2週間後肢懸垂を負荷したマウスにおいても同様に生じる。骨格筋において薬理学的な濃度の成長ホルモンはインスリンシグナル下蛋白Aktを活性化し蛋白合成を促進することが知られているが光グレリン投与によって生じる内因性成長ホルモン濃度の上昇程度では萎縮筋のAktを活性化させるにはいたらなかった。一方、グレリンの単回投与は、萎縮筋におけて転写因子STAT5を急性に活性化した。STAT5は活性化した後、核へ移行し成長因子IGF-1の遺伝子発現を亢進させることが知られている。そこで、骨格筋のIGF-1遺伝子発現を測定したところ、後肢懸垂によりIGF-1の遺伝子発現は低下しているが、グレリンを単回投与すると2時間後にはIGF-1の遺伝子発現が増加することを確認した。この結果は、グレリンの慢性投与による抗萎縮作用は、このGH-STAT5-IGF-1軸の活性化を介して生じている可能性を示唆している。後肢懸垂を負荷したマウスでは血中コルチコステロン濃度が上昇していた。コルチコステロンは蛋白異化ホルモンであり、後肢懸垂による筋萎縮に関与していると推察される。そこで、後肢懸垂中にグレリンを慢性投与し、血中コルチコステロン濃度を測定してみると、グレリンの慢性投与は、後肢懸垂によるコルチコステロン濃度の上昇を抑制することがわかった。この作用機序は不明であるが、グレリンの抗萎縮作用に貢献していることが推察される。来年度も引き続き、作用機序に関する検討を継続する。
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[Journal Article]2009
Author(s)
十枝内厚次
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Journal Title
運動と免疫「運動と胸腺と免疫」、「運動と脾臓と免疫」(有限会社ナップ)
Pages: 60-62, 63-65
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