2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動習慣は自己修復細胞を活性化しうるか-脳卒中発症遅延と延命効果
Project/Area Number |
20500636
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
丹羽 淳子 Kinki University, 医学部, 講師 (60122082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 英明 近畿大学, 医学部, 教授 (40122098)
中村 恭子 近畿大学, 医学部, 助教 (10512197)
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Keywords | 脳卒中 / 運動習慣 / 血管内皮前駆細胞 / 神経幹細胞 / 造血幹細胞 / 血管新生 / 神経新生 / 機能回復 |
Research Abstract |
血管新生は脳卒中発症後の患者の生存率と相関し、また神経新生は血管新生が伴う組織において顕著であることが報告されている。ヒトの本態性高血圧症病態モデルの一つである脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)に自発的な運動を長期行わせ、運動習慣が病変部の血管・神経新生を促進するか検討した。運動SHRSPは、非運動ラットに比し、卒中発症後5日目には脳病変部周囲で、造血幹細胞マーカーCD34陽性細胞や血管幹細胞VEGFR2陽性細胞、微小血管に増殖マーカーのKi-67陽性細胞が多数認められた。血管新生に重要な増殖因子VEGFも運動SHRSP脳病変部で増加していた。また神経幹細胞および幼若細胞を示すdoublecortin陽性細胞、nestin陽性細胞も運動群で増加していた。骨髄細胞および末梢血単核球中の血管内皮前駆細胞(VEGFR2^+CD34^+およびVEGFR2^+VE-cadherin^+)と造血幹細胞(CD34^+)の数を発症前、発症後5日、10日、15日~20日(グリア瘢痕化時)まで時間変化を調べた。運動ラットでは、発症前に骨髄中血管内皮前駆細胞が増加し、発症後速やかに末梢血中へ移動することがわかった。これは、発症後早期の脳病変部に、血管・神経前駆(幹)細胞が認められたことと相関した。また運動ラットでは、発症10日以後、脳浮腫の軽減と病変部の縮小が認められた。これに一致して、運動ラット骨髄、末梢血中ともに増殖因子やケモカイン産生を促す造血幹細胞も発症10日以後増加した。 傾斜板を用いたinclined testにおいて、運動ラットでは神経系の機能維持ならびに改善効果を示した。
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