2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域通貨を活用した地域経済の活性化-エコツアーやバイオマスを組み込んで-
Project/Area Number |
20500649
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
渡邉 廣二 Naruto University of Education, 大学院・学校教育研究科, 教授 (90167122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 太造 徳島文理大学, 人間生活学部, 助教 (40330758)
佐渡 君江 四国大学, 生活科学部, 准教授 (20215908)
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Keywords | 木質バイオマス / 燃料チップ / 間伐材 / 林地残材 / 地域通貨 / 森林環境税 |
Research Abstract |
上勝町のチップ製造について平成20年度実績で見ると,第三セクター(株)もくさんが原木を町内業者や森林組合等から3.9円/kgで買い取り,これをチップに加工して温泉に9.2円/kgで販売している。加工に要する経費内訳を見ると,町所有の破砕機等の借り上げ料が1.6円/kg,破砕機等の維持費が3.0円/kg,さらに賃金と事務所経費が5.7円/kg,以上計10.3円/kgとなる。したがって,賃金分相当の5.0円/kgが(株)もくさんからの持ち出しである。さらに平成21年5月以降,町は,町内業者からの原木買取価格を5.0円/kgに改訂した。その結果,チップ製造経費は15.3円/kgへ増加し,(株)もくさんからの持ち出しが増えた。このように,上勝町の燃料チップ製造過程は,(株)もくさんにしわ寄せすることによりかろうじて循環している。この循環を安定させるには,一方でチップ製造業者にとっては原木の買取価格を引き上げず,しかも他方で原木の供給業者にとっては原木がより高く販売できるようにするという,矛盾する2者を両立させることである。 この課題を解決する実践的事例として,高知県仁淀川町の取り組みが挙げられる。ここではC材を発電施設に持ち込めば3.0円/kgの現金が支払われるだけでなく,これに加えて環境支払として3.0円/kg分の地域通貨券が支給される。こうして一方で発電施設は原木を3.0円/kgで買い取ることができ,他方で原木の供給業者は6.0円/kgを受け取ることになる。上勝町のチップ製造についても,原木の供給業者に対する支払いの一部に地域通貨を用いることによりチップ製造が安定的に行われるようになる。原木の多くを占める林地残材の搬出は環境保全に有効であり,地域通貨の原資として森林環境税を充てることに地域住民の理解を得るのは困難ではないと思われる。
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