Research Abstract |
日常の生活場面に応じた被服圧を測定するための,簡易測定器はほぼ完成した. 最も圧感度の高い腹部・胸部と最も感度の低い下腿および足部に関して,(1)胸部圧迫の被覆面積の違いが圧感覚に与える影響,(2)腹部圧迫が血流量に与える影響,(3)下腿および足部圧迫が足部容積,皮膚温,皮下組織の構造,圧迫感,温冷盛に与える影響を明らかにした.詳細を以下に示す. (1)運動負荷の強度をそれ程上げなくても,体脂肪の燃焼を手助けする圧迫負荷の条件を探るために,まず呼吸代謝に影響を及ぼす基礎的な因子について調べた.運動負荷が一定であっても,脂質代謝は夏季と冬季によって異なり,季節変動する可能性が示された.また,同一の季節であっても,月経周期,運動強度,服装によって有意に変化することもわかった.(2)腹部をベルトで圧迫した際に血流量がどのように変化するかを調べるために,超音波診断装置のプローブを容易に上下し,角度が変えられる簡易の固定台を試作した.まず,上腕から前腕にかけての7部位の動脈の血流量を,超音波ドップラー法を用いて測定した.無負荷時の血流量を血流速と断面積から算出した.どの測定部位であっても,血流量は一日の時刻に伴って変化し,夕刻に血流速が最も遅くなることがわかった。そこでこの時刻に,腹部を数段階の圧迫強度で圧迫した際の,尺骨動脈の血流量の変化を調べた.これから,腹部を圧迫しても血流量に影響を与えない適正圧とその時の圧感覚を明らかにした.(3)足部容積,皮膚温,皮下組織の構造,圧迫感,温冷感に与える影響は,前年の成果を踏まえて試作した着圧ハイソックスを用いて,4時間椅座位で過ごした時の足部容積,皮膚温,皮下組織の変化,官能評価を調べた.これまで下腿および足部を加圧する場合,大腿から足部にかけて先端へ行くほど,加圧を高くしたフープテンションをかけるべきと考えられていたが,加圧可能な部位とその強度が明らかになった.
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