2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線カット剤による環境材料(衣料及び生活用品)の耐久性改善と身体防護性能付与
Project/Area Number |
20500667
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
織田 博則 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (80131176)
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Keywords | クチナシ青色素 / 紫外線吸収剤 / 耐光性改善 / 一重項酸素 |
Research Abstract |
オシャレのために老若男女、誰でも抵抗なく髪を染める時代になっている。しかし、染毛剤は単に髪が傷むというだけでなく、強い毒性を持つ物質が何種類も含まれており、健康に重大な影響を与えている。その原因は、染料であるジアミンに対するアレルギー反応や毒性にある。そのため、最近天然素材に含有されている色素への関心が高まっているが、天然色素を染毛用に用いる場合には、色素の光不安定性が問題になり、その利用を阻んでいる。ここでは、天然色素の日光堅ろう度の改善を、クチナシ青色素をモデルに選び検討した。先ず、クチナシ青色素の光退色挙動に及ぼす添加物の効果をtlcセルロース板上で、キセノンアーク灯照射下検討した。クチナシ青色素はキセノンアーク灯を1時間照射することにより、74.6%退色するのに対し、その系に一重項酸素増感剤であるローズベンガルを添加した場合には、84.2%に退色が加速され、自動酸化防止剤HPや一重項酸素脱活性化剤DABCO添加の系では、退色速度は抑制されることら、クチナシ青色素の光退色には、自動酸化と一重項酸素酸化の寄与が示唆された。また、クチナシ青色素の光退色に及ぼす各種紫外線吸収剤や添加物の効果を検討した結果、クチナシ青色素の光退色抑制には、紫外線吸収剤やNTSなど一重項酸素脱活性化剤の添加は、さほど顕著な抑制効果を示さなかった。また、NTSと紫外線吸収剤の併用効果についても検討したが、顕著な耐光性改善効果は見られなかった。その為、ニッケルスルホン酸基をフェニルエステル系紫外線吸収剤の分子内に導入した化合物を新規に合成し検討した。その結果、ニッケル1-ベンゾイロキシナフタレン-3-スルホン酸塩が、クチナシ青色素の退色をほぼ完全に抑制した。また、同様な効果は紅花赤色素にも見られ、地球環境にも易しいことから、この化合物を、天然色素の耐光性改善剤の母体骨格の1つとして提案した。
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Research Products
(5 results)