2008 Fiscal Year Annual Research Report
冷却面から垂直一次元方向における各種食材内部の冷却速度の測定と解析
Project/Area Number |
20500690
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
長尾 慶子 Tokyo Kasei University, 家政学部, 教授 (20217970)
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Keywords | 食品材料 / 温度低下曲線 / 熱移動現象 / 緩和時間 / 冷却操作 / 熱拡散率 / 熱媒体 / 無次元温度 |
Research Abstract |
一連の食品材料を対象に測定用試料の冷却条件を可能な限り一定にするため、間接加熱実験に用いた熱媒体循環器と同形同サイズの冷媒循環用金属製熱源器を製作し、その上に置かれた試料容器の底部を介して試料の底面が室温から零度以下の範囲内で任意に設定し、一定温度で測定中冷却される方法を実現した。実験には加熱の場合と同様、試料容器内の円筒状試料底面から垂直一次元方向の6箇所の位置に熱電対を設け、温度情報を安立製のデータコレクターに集積し、冷却時間と試料内部各位置における温度との関係を精度良く求めた。 これまでの加熱実験との関連性を明らかにするため、冷却操作の対象とした各種食材のうち、本年度は各種の小麦粉ドウ、および水分量の異なる一般食材を取り上げた。小麦粉ドウ系の試料は、保形性を維持しながら水分量を可及的に変化させるために調製されたものであり、食材温度の低下に対する水分の役割を明らかにすることを目的として採用した。試料の調製法の詳細については、既に学会誌に報告済みである。 冷却開始時の試料温度T_0℃、冷却中の時間tでの試料温度T_t℃、試料の冷却温度が平衡状態に達したときの温度T_∞℃とすると、冷却時間tにおける無次元温度φ(t)は次式φ(t)=(T_t-T_0)/(T_∞-T_0)で示される。 これまでに得られた小麦粉ドウ系や一般食材試料の冷却操作中の温度下降曲線は、移動速度論における相似則、即ち運動エネルギーの散逸に基づく応力の減衰現象と同等の取り扱いの可能性を示唆し、冷却面から垂直内部温度φ(t)と冷却時間tとの関係は、加熱の場合と同様の形式φ(t)=exp[- t/τ_R(x)]に従うことが明らかであった。 τ_R(x)は、熱エネルギーの緩和現象に基づいた、試料内部温度の低下速度に関わる重要な定数である。
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Research Products
(11 results)