2009 Fiscal Year Annual Research Report
テーラーメイド食品をめざした新規構造澱粉の作出と物性制御に関する研究
Project/Area Number |
20500691
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
阿久澤 さゆり Tokyo University of Agriculture, 応用生物科学部, 准教授 (60256641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 直子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90315599)
早川 文代 (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (00282905)
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Keywords | SSIIIa / 日本晴 / 澱粉 / アミロペクチン / 鎖長分布 / 粘弾性 / 分子特性 / レオロジー |
Research Abstract |
【研究の目的】本研究では、直鎖伸長酵素の1つであるSSIIIa活性を欠失させたイネの作出を行い、その変異体米胚乳澱粉の構造と物性を明らかにし、澱粉合成のメカニズムの解明と、利用をめざした新規澱粉の作出の可能性を模索した。また、これらの澱粉糊液の粘弾性発現に寄与する要因について、糖転移酵素を用いてアミロースおよびアミロペクチンの分子鎖を再配分して澱粉の構造変化と物性を測定し、粘弾性発現に影響する構成鎖長について検討することを目的とした。 【研究経過報告】イネ胚乳内でアミロペクチンの合成に関与していると考えられているSSIIIa活性が欠失した変異体を作出し、その胚乳から分離精製した澱粉を試料とし、日本晴れ(野生型)を対象とした。SSIIIa変異体米の米粒は、形態および米粒の重量ともに野生種(日本晴れ)と近似し、SSIIIaの欠失による胚乳澱粉量には変化はなかったが、炊飯米の破断特性は、SSIIIaは明確な破断点を示す脆い炊飯米であるのに対し、日本晴れは破断点を示さない平衡破断で、胚乳中心部と周辺部の澱粉の密度の違いおよび澱粉の構造の違いが示唆された。RVAによるペースト特性は、著しく低い粘度曲線を示し、さらに、SSIIIaは日本晴れに比べて、ペースト特性及び糊液の貯蔵弾性率(G')が低いゲルを形成し、粘弾性のバランスでは、損失弾性率(G")によって示される粘性特性が極めて低い糊液となることが明らかになった。SSIIIaは真のアミロース含量(20.0%)、ELC(4.8%)で超長鎖画分が構成されていることがわかった。平均分子量はSSIIIaは、日本晴れに比べて、分子量および慣性半径ともに小さいことが示された。
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Research Products
(2 results)