Research Abstract |
本研究は就学前から小学校第2学年の子どもを対象とした図形指導プログラムを開発することを目指している。本年度の主要な成果は以下の2点である。第一に,図形指導プログラムを構築するために,その内容選択の基準を明らかにした。そのために,まず,思考の発達及び幾何学的思考の側面から図形指導プログラムの対象範囲を明らかにした。次に,幾何学における図形の捉え方を基に図形指導の内容を特定した。続いて,幼少期の子どもを対象としたプログラムとして,アガム・プログラム,年少の子ども向けスタンダード,ビルディング・ブロツクス・プロジェクト及びNCTMスタンダードを概観し,図形指導の内容について比較した。以上の結果を踏まえ,プログラム構築のための内容選択の基準を抽出することができた。その結果,就学前及び小学校低学年の子どものための図形指導プログラムの内容選択の基準として,空間,図形,位置,大きさ,運動,構成要素及び構成要素の配置を提示した。 第二に,アガム・プログラムにおける実態調査の問題を参考にして,四角形や円の認識,図形の再生,記憶・再生,図形の構成要素の認識,色板並べ,図形の合同・相似の認識を含む問題を用いて,小学校第1学年の2校5学級の児童を対象に実態調査を行った。主な結果としては,次の3点が挙げられる。(1)曲線図形と直線図形の識別,多角形の識別及び再生については適切に行えること,(2)複雑な図形の中に単純な図形を見つけることの発速度が多様であること,(3)同じ図形という認識が多様であること。
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